隣の席は……

 「ふふっ。ここでも隣なんですね。」


(最早怖いんだけど。)

運命の悪戯かそれとも何者かの意思か。度重なる偶然に僕は恐怖を感じた。


「偶然が重なり過ぎて僕は怖いよ。」


「これは運命と形容した方がいいかもしれませんね。」


桜がそう言い、意味深に笑う。


「運命……か。なんかちょっとロマンがあるね。」


「そうですね。海野さんは、私と隣で嫌じゃないですか?」


「嫌じゃないな。むしろ嬉しいくらい?ところでさ、少し頼みがあるんだけど……」


「なんですか?」


「その……筆箱忘れちゃって……」


「海野さんって思ったよりもズボラなんですね。」


その言葉にはどこか受け入れるような雰囲気があった。


2

放課後。机で荷物をまとめていると、隣から肩を叩かれる。


「海野さん、一緒に帰りませんか?」


「家近いもんね。いいよ。桜と帰るのは楽しそうだし。」


「そう言ってもらえて嬉しいです。その……少し話したい事があって……」


家までの道を歩きながら桜の言葉を聞く。


「今日の夜、一緒に配信しませんか?」


「内容は?」


「始まってからのお楽しみです。」


すると桜は再び意味深な笑いを浮かべるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る