第18話 新黒須の町に雪が降る!?
北西から吹く風を感じると、一段と寒い。
厚いコートに手編みのマフラーの「完全防寒対策装備」でも寒く感じる。
すると、空から白いものがフワフワッと舞っていることに気づいた。
「……これは…雪か!?だから、こんなに冷え込んでいて、寒かったワケか……!もし、この雪が長く降ったら――この町でも積もったりするかな……?」
新黒須の町でも毎年、雪は降るが、例年は「道路や芝生の上にうっすら白く積もる」そんな程度の積雪量。
だから本格的な雪かき作業も、近年はしていない。
その翌日――
案の定、昨日から降り続いている雪がめっちゃめちゃ積もった。
ここまでの積雪量(新黒須の町基準)は商店街の人や近所に住むおじさん・おばさん曰く珍しいとか。
確かに、思い返せば数日前の天気予報で、気象予報士の人が「強い寒気が流れ込むため、大雪による交通障害などにご注意ください!」とか言っていたような気がする。
ブーッブーッ!
机のそばに置いていたスマートフォンの着信音が鳴り響く。
慌てて、スマートフォンを見ると画面には――
「小高 誠人」
まさかの小高くんから電話が掛かってきた。
「もしも~し、神崎さん!雪、めっちゃ積もってるね!スゴいね!で…唐突なんだけどさ、神崎さん。公園の丘でソリすべりをやらない?道具はぼくが持ってくるからさ!」
「…ソリすべりか…。私、そんなにソリすべり上手じゃないよ?」
と答えると
「神崎さん、そこを、心配してるの…?今日のソリすべり、マジメなヤツじゃなくて遊びなんだから、上手いとか下手くそとか、そんなこと気にしなくても大丈夫だよ!」
小高くんが、電話口で笑う。
「それじゃあ、神崎さん。公園で待っているね!」
――準備をして数時間後、公園に到着。
やはり、積雪の影響を受けてか、公園の利用者はいつもよりまばら。
というか、気持ち子どもたちの人数の方が普段より、多いような……?
「神崎さ~ん、こっちこっち~!はいこれ、ソリね。色がちょっと派手だけど、ガマンしてね?これしか、持っていなくて……」
「ありがと……ん?これ……小高くんの私物?」
「そうだよ…!小学生くらいの頃に使っていたものが、家の物置から、たまたま見つかってさ…?どうせ、使うのも最後になると思うし、この『ソリ』を処分する前に、何か思い出作りができたらいいな…と思って持ってきた!」
ソリのデザインは確かに「派手」だけど、どこか小高くんらしい?デザインな感じもする(ちょっと失礼)。
「…じゃあ、神崎さんは前と後ろ、どっちに乗る?」
「…えっ?あっ…じゃあ…前でお願いします……って、このソリ…二人乗りですか!?」
何故か、同級生の小高くんに対して、驚いて「敬語」になった。
「…そりゃあ…このソリのサイズ…大きいソリだからね!
二人乗りのソリすべりって、なんか「青春してます!」って感じで、なんか、良いかなって…あっ!このことは他のクラスメイトとかに言わないで…」
「…小高と神崎さん、そこで何しているんだ?(ソリを見て)…あぁ、なるほどね!お前らも滑りに来ていたのか」
突然、目の前に現れた人物…星崎くん。
お前らもと言っていたが、星崎くんのその右手には小さな「ソリ」が握られていた。
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