第19話 星崎くんと三人で


「…星崎くん!もし良かったら、一緒に滑らない?三人で滑った方が絶対、楽しいと思うからさ!」


 と半ば強引…というか強制的?に、星崎くんをソリ滑りに誘う。


「…そうだな。ソリ滑りのお誘いどうもありがとう、神崎さん。一人で寂しく滑るより、みんな(小高くん・神崎さん)と一緒に滑れた方が『楽しさ』の共有も出来るからいいかもね!」



「…おーい!ふたりとも、そんなところで喋っていないで、早く滑ろーよ!ジッとしていると寒いんだから!!」


 ちょっと半ギレ気味の小高くん。私と星崎くんが楽しげに話しているのを見て、どうやら嫉妬をしたらしい…


「…はいはい、小高くん、今行くよー」


「たかが公園の丘、本格的な所(スキー場など)ではないから、スピードもそこまで出ないだろう…それに今回は『軽く遊ぶ程度』だし…」

と思っていたが、それは間違いだった。

 最初は、小高くん自身もゆっくりと雪が積もった公園の丘を慎重に滑っていたが、ソリ滑りに慣れてきた小高くんが調子に乗って、スピードを出す。


「…ちょっと!小高くん、ちょっと速いよ!危ないから、速度を緩めて!周りの人たちも巻き込みかねないから!」


「……あっ!ごめん…!神崎さん。ソリ滑りのスリルを味わいたくて、つい調子に乗って、スピードを出しすぎてしまった…次からは気をつけるよ…」


 どうやら、悪気はなかったようだが、楽しくなって、無意識のうちにスピードが上がってしまった。とのこと。

 …まぁ、他人を巻き込まなくて良かった…


「…それじゃ、今度は星崎と神崎さんが一緒に滑れば?ちょっと、トイレに行きたくなって…」


 …小高くんのトイレに伴い、まさかの星崎くんとふたりきりになった。学校などで話すことはたまにあるが、だいたいは他にも人(クラスメイト等)が居る時。

ふたりの間に、気まずい空気が流れていく。


「…じゃ、じゃあ…軽く滑りますか…」


「…神崎さん、いつも小高の面倒を見てくれてどうもありがとう…!アイツ、中学の頃と比べて、今の方がイキイキして、明るくなった気がするんだ。たぶん、神崎さんのおかげだと思う。あと、なんとなく神崎さんと『がある』って感じたんだと思う。」


星崎くんが言う、小高くんとのがどこを指しているのかは分からないが…おそらくお互いのってことなのかな?

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