第6話 小高くんと、お出かけ(前編)
お昼のお弁当を食べて、自分の席で家から持ってきた本を読んでいると…
「神崎さん!今度の休みにどこか遊びに行かない?」
小高くんの急なお誘い。特に予定もなく、暇を持て余していたので、素直にこのお誘いはうれしい!
「小高くん、ありがとう!一緒に行こ…」
…ん?ちょっと待って待って…休日に小高くんとお出かけってそれ…
いや、いつも一緒に学校から新黒須駅まで帰っているけど、休日にお出かけに誘うって…もう「恋人関係」みたいなものじゃん。
「神崎さん、どうしたの?顔赤いよ?大丈夫?」
小高くんが心配そうに顔を覗き込む。
「あ…いや?…な、なんでもないよ?あっ、今度の休みにどこかに行こうって話しだったよね?うん…大丈夫だよ!(遊びに)行こ行こ!」
私の今の反応、明らかにおかしかったよね…
もし「今日の神崎さん、なんかヘンなの」なんて小高くんに思われていたら、どうしよ…
――今度の休み(土曜日)
小高くんとの、お出かけが楽しみすぎて、集合時間の2時間前に、新黒須駅前に来てしまった。
「さ、さすがに小高くんはまだ駅に来てないよね…」
数十分後…
「えっ、神崎さん!?もう駅に来ていたんだ、早いね!」
駅前のベンチに腰掛けて、スマホをいじっていると、小高くんが登場。小高くん自身も今日のお出かけが楽しみだったようで、予定の集合時間よりも早く来てしまったらしい。
「いやー、神崎さんとのお出かけが楽しみすぎて昨日の夜は全然、眠れなかったよ!」
小高くんの顔を見ると、目の下にうっすらと「クマ」のようなものが確認できる。本当に眠れなかったみたい。
「ちょっと小高くん、もし寝られていないなら、電車内でちょっとだけでも寝たら?無理は身体に良くないし…」
と休むように促すも、小高くんは首を横に振って拒否。
「電車内で寝たら、神崎さんとお話しが出来ないじゃん!それは絶対にヤダ!」
小高くん。電車内で私とお話しをしたい気持ちは分かりますが、あなたは先日、体調不良で学校を欠席していたのですから、寝てください。お願いします。じゃないと、まるで「神崎さんが休日に小高くんを連れ回したせいで、体調を崩した」みたいな誤解をされちゃうので!
子供のように駄々をこねる小高くんをなんとか、説得して寝てくれた。
でも、普段一緒に学校から駅までの道のりを歩いて帰っている時に結構、話しているつもりなんですけどね…
小高くんはまだまだ、私といろいろ話しをしたいってことなんですかね…?
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