第5話 小高くん、欠席?

「小高~小高誠人はいないのか~?」

担任の先生が朝の出欠を取っているが、いつもなら居るハズの小高くんの姿が見えない。


「小高くん、休み?それとも遅刻?」

いずれにしても、小高くんが本当に休み・遅刻ならかなり珍しい。

いつもは、朝登校すると既に小高くんが教室に居ることが多かったので、勝手に居るものだと思っていた。


朝の出欠が終わった後も、小高くんは姿を見せず、のちに「体調を崩してしまった」という話を他のクラスメートから聞いた。


「帰りに、小高くんの家に寄ってお見舞いに行こうかな?でも、急に訪ねたら迷惑かな?」

ちょっと考えてから、小高くんの家に寄ってお見舞いをしてから帰ることに決めた。


「ピンポン、ピンポーン!」

小高家のチャイムを押す。 


「…!?か、神崎さん!?」

玄関の扉を開けて、顔を出したのは小高くん本人。突然、訪ねたのもあってか小高くんはビックリした様子を見せる。


「小高くん、体調を崩したって聞いたから、お見舞いに来ちゃった!連絡なしに急に来ちゃってゴメンね!あとこれ、冷えピタとスポーツドリンク一式。」

小高くんの家に向かう途中にあったドラッグストアで、熱さまシートとスポーツドリンクを購入して小高くんに差し入れとして手渡す。


「わざわざ、ありがとう!神崎さん!ちょっと冷たいのが飲みたいな!って丁度思っていたところだったから助かるよ!」


小高くんの部屋に行くと、ベッドには氷嚢(氷まくら)と桶・上下の着替えが準備されていた。


「小高くん、そんなに熱が高いの!?早く横にならないと!」


小高くんは、私に更なる心配を掛けないようにと、平静を装っているが、ベッド脇に置いてあったノートには「13:06・38.5」と書いており、この数字はおそらく、小高くんの測定時刻(13時06分)と体温(38.5℃)だと思われる。


「ただいまー、お前が食べたいって言っていたアイスを買って来たぞー!ちゃんと安静にしているかー?」

玄関の方から、小高くんのお姉さんの声が聞こえてくる。


「あ、姉ちゃんが帰ってきたっぽい。」


「コンコンッ、入るぞー」

小高くんのお姉さんがノックをして、部屋に入ってくる。


「あっ!」

「あっ!」

お姉さんの入室と同時に挨拶をしようとしたが、見事に被る…!


「確か、神崎さん…だっけ?もしかして誠人のお見舞いに来てたの?」

「あっ、はい!そうです!誠人くんが体調を崩してしまったと聞いたもので…」

「ありがとうね!神崎さん。でも、誠人から風邪をうつされないようにね!はいこれ。一応、感染防止の為にマスク渡しておくね。念のため!」


それから数日後、体調が回復した小高くんが無事に戻ってきて、また元気な姿を見せてくれた。




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