第六話『アタマイイ!? 三択クイズ』

「ミニスカー・サンタのやつ、大丈夫だろうか……って、他人ひとの心配している場合じゃあなさそうだッ! かなり来てるなァ……」


 サンタク・サンタも、赤い悪魔レッド・アクーマーの軍勢に、四方八方、囲まれてしまっている。


 が、サンタク・サンタは、手元のクイズ本をペラ、ペラリと一項一項、勿体もったいぶりながらめくり、冷静そのものである。


「サタン軍も舐められたものだ……。おい、赤い悪魔レッド・アクーマーたちよ! どうやら奴は早く日干しレンガの一部になりたいらしい、早急さっきゅうに、そのようにして差し上げろッ!」

「「「血ィーッ!」」」


 赤い悪魔レッド・アクーマーたちは、口内で刺さってしまいそうなやたらに長い犬歯けんしいて、サンタク・サンタに襲いかかるッ! のだが……


「うぉおおおオオオッ!!!」

 と、サンタク・サンタが急に叫ぶので……


 ちょっとたじろぐ。


 その隙にッ!


「それではお待たせ〜ッ、サンタク・サンタのぉーッ! サンタク・ク〜イズッ! ではいきなり! 第三問!」

 サンタク・サンタは、急にクイズを始めた。


「は……?」

「「「……ァ?」」」

 サタンも赤い悪魔レッド・アクーマーたちも、意味不明のあまり、思考停止する。


「デデン!(セルフ効果音)2023年に鬼バズりしたフレーズは、サ〜ンタ? 次の三つの選択肢サンタクから選べッ!


いち鹿の子のこのこ虎視眈々しかのこのこのここしたんたん

中居なかい隣のトナカイと中々仲良いとなりのとなかいとなかなかなかいい

さんサンタさんた三足す三しだすダンサー炭酸ずんだ寸断さんたすさんしだすだんさーたんさんずんだすんだん


 解答時間……三間待ってやる!」


「血ッ血ッ血ッ……一秒経過! お前らの好きな血ッ血ッ血ッ……二秒経過……血ッ血ッ血ッ……」


「サンダッ!」

 と、赤い悪魔レッド・アクーマーA。

「ウンッ、ソウダッ!」

 と、赤い悪魔レッド・アクーマーB。

「ダッテ、"サンタ"ダモンナッ!」

 と、赤い悪魔レッド・アクーマーC。

われは違うと思うが……アニメ見たもん」

 と、アニオタ大魔神サタン

「アーッ! サッキ、"サ〜ンタ?"ッテイッテタゼ!」

 と、赤い悪魔レッド・アクーマーD。

「サンダナッ! サンニチガイナイッ!」

 と、赤い悪魔レッド・アクーマーE。


 セ〜ノッ! 


「「「サァンッ!!!」」」

 全会一致赤い悪魔レッド・アクーマー

 サタンは、「でもそーんなんじゃ」などと言っている。

 わけがわからないよ(◕‿‿◕)。


 サンタク・サンタは付けひげ──という名の呼吸用マスク──の下に不敵ふてきな笑みを浮かべて……


FファイナルAアンサー?」

 と親切にも念押しする。


「「「ファイナル・アンサー」」」

 赤い悪魔レッド・アクーマーたちに迷いはない。

 サタンは、小声で「だ〜め」と言っているのが、口の動きでわかる。

 不和不和ふわふわるサタン軍……


「デレレ〜ン………………」

 サンタク・サンタのいかめしい、セルフミリ◯ネア的効果音。


「「「ドキドキ……ドキドキ……」」」



「そこの悪魔ッ! ざんね〜んッ! そこもッ! そこもッ! そこのお前もッ!」


「必殺、三太の魂喰らいサンタ・スクイーズッ!」


 サンタク・サンタが、手を夜空に向けて、ピンと伸ばすと……


\༄༄༄ヒュゥウウウ༄༄༄/


 不正解者の魂が、頭の先からスーッと抜け、


「「「「イィイイイヤァアアア!!! 血ィキショーッ!」」」

 

 手のひらの中に、吸い込まれてしまった。


 抜け殻になった赤い悪魔レッド・アクーマーたちの肉体は、無限に広がる針葉樹モミの森へと真っ逆さま。


雑魚ざこがッ! フッ、こんな基本問題を、間違えよってッ!」

 サタンは、依然いぜん無傷である。


「くッ……。やはり一人の力では、大魔神にはかなわないのかッ!?」

 

 そこで、サンタク・サンタは、遠くにいるミニスカー・サンタと、意味深な目配めくばせをわした。

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