第17話

「それじゃ、今度は君のだね。」

と言い、南さんは下に滑らせるように

肌に吸い付いて、器用にシャツを脱がされる。


露わになった突起の回りを指でなぞられて

焦らされるが、長く焦らす事はせずに


敏感な突起を指で弾く。


「ひうっ。んあっ。」突然の刺激に

声がうわずって、その後甘い声が漏れる。


「ふふ、此処痛くされるのと嬲られるのどっちが良いんだろうね。」と言いながら、南さんは弾いた突起を強くつねった。


「ああっ。いたっ。はぁあん。」


声をあげてしまう俺を見て、南さんは

「痛いのが好きなんだね。俺好みだ。いい子。」と言っておでこにキスをする。そして、

もっと下へと手を伸ばす。

ズボンのベルトを難なく取ると

あれよあれよと言う間に脱がされる。

パンツの中は白いモノが糸を引いていて、恥ずかしくてたまらない。


「あれ、もしかしてさっきのでイッた?開発済みなのかな。後ろもヒクついてる。」と耳打ちされ、俺の中で嫌だった光景がフラッシュバックする。それと一緒に新庄さんが

俺を助けてくれた事、その腕に包まれて安心した事を思い出して、熱くてたまらなかった衝動が少し収まる。


何してんだ俺。こんな、嫌だ。

正気を取り戻したように自分の意思が戻ってくる。


「やめ、ろ。」精一杯の抵抗の言葉だった。


けれど、止まらずに、俺の尻を触ってくる。

南さんを俺は蹴って逃げ出そうとするが、足を伸ばした瞬間、ズボンが下がっている事を忘れていたせいでバランスを崩して前に前傾姿勢で転んでしまう。


バタンと派手な音がするのとドアが開いたのは

ほぼ同時だった。


俺が顔をあげるとそこには会いたく無い人がいた。


どうしてこんな姿を見られてしまうんだろう。


そんな目で見ないでください新庄さん___。


ーーーーー

ドアのところで固まった新庄さんを前に俺は

直ぐに正座して、はだけたシャツとアソコを隠す。動かない新庄さんに不安が募って、

「し、んじょ、うさん。」と俺が呼ぶと

固まっていた新庄さんが一瞬俺を見た後、俺のそばを通り過ぎて南さんの胸ぐらを掴む。

「南、どう言う事だ!説明しろ今すぐに。」と怒りを孕んだ声が倉庫内に響いた。


「新庄さん!落ち着いてください!!」

と咄嗟に新庄さんを止める。


新庄さんは俺を上から下まで見た後に

「お前はズボン履いてろ。」と言われただけで

南さんの胸ぐらをを離さない。


「南、早く話せ。」

と、新庄さんは視線を南さんに戻した。


俺は言われた通りパンツとズボンを上げていると南さんが口を開いた。


「説明も何もあの場で急にフェロモンが出たら嫌でもわかる筈だ。だから、追って来るのがこんなに遅くなったんでしょう。運命の番なんて僕には要らないと思ってましたが、皆川さんは可愛いですし、俺のモノにしてもいいと思ったんです。発情したままあの場所に置いておくわけにいかないでしょう?それにこれはお互いに同意しての結果です。言っておきますが、僕ではなく、彼からの誘いに乗っただけです。」と新庄さんに話す南さんは終始笑顔で不気味な程だった。


そして、俺から誘った事を新庄さんに知られて

無性に惨めになった。



新庄さんの考えている事が分からなくて怖い。


元々綺麗な身体じゃないけれど、


この気持ちを無視して、行為に及んだ体では

もう、新庄さんを純粋に見つめる事は出来ない。罪悪感でいっぱいの胸が、どうしようもなく新庄さんを見つめてしまう。

泣かないようにする事だけが、今新庄さんに負担をかけさせない方法だった。


『ごめんなさい』の言葉が

口から出る事なく俺の脳内をループする。

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