第14話

会社に着くと改めて新庄さんが

俺を皆んなに紹介してくれる。


入社した日からすでに外での

仕事があった為、会社のビル前で

待ち合わせをしていた。


だから、


実際会社の中に入るのは今回が初めてで

なかなかに緊張する。


ここにいる人でΩは俺だけ。

ほとんどがαで、数は少ないがβもいるようだった。


αのフェロモンにあたることはないとは思うが、念のため抑制剤を飲んできている。


既にみんなは俺がΩである事が

ばれているので、それはそれは、視線が痛かった。


一通り挨拶を終えて俺がこれから使うディスクに新庄さんは案内してくれた。


「ここを使ってくれ、何かあれば聞いてくれて構わない。指導はそうだな。俺と、南!ちょっと来てくれないか。」


そう新庄さんが呼ぶと、南と呼ばれた人が

慌てて来る途中で、資料をぶち撒けながら派手に転んだ。


「大丈夫か?」


と言いながら、新庄さんは南さんに駆け寄る。


「あははっ。すいません。」


南さんは謝りながら資料を集め、

新庄さんも俺も資料を集めるのを手伝った。


「はい、これどうぞ。」と手は渡すと


「ごめんね、ありがとう」そう言って受け取ってくれた。


「まったく、気をつけろよ。」と言いながら

新庄さんは南さんの額を小突く。


南さんの表情を見て俺はなぜか、ツキンと胸が痛んだ。


それがどうしてなのか分からず

その痛みを無視する。


「南、こいつの指導を俺がいない時に頼みたいんだがいいか。」


と、新庄さんの言葉で南さんはガバッと俺を見る。


「えっと、初めまして皆川 碧です。よろしくお願いします。」


俺は南さんにそう伝えると

新庄さんと俺を交互に見ながら

俺の方を見て、


「僕は、南 啓介と言います。僕なんかで良ければ、これからよろしくね。皆川さん。」


南さんはそう言いながら微笑み、手を差し出してくる。

男にしては可愛いと言う言葉が似合う人だと思いながら彼の手を握り返した瞬間。


ドクンと鼓動が爆発しそうになった。

やばい。

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