第9話

気がつくと俺は知らない場所のベットで眠っていた。周りには誰もおらず締め切ったカーテンの隙間から日差しがさしている。


どのくらい眠ったかわからないが

身体は重くて怠い。

散々泣いたせいか頭痛もあって体調は

すこぶる悪い。


ガチャっとドアが開き

新庄さんと目が合う。


「おっと、起きたのか。どうだ調子は、起き上がれそうか?」


と頭痛がある状態でも不快に思わない

静かで低音の優しい声音が俺の耳に届く。


俺はゆっくりと起き上がる。

新庄さんはすかさず背中を支えてくれた。


「大丈夫か?顔色悪いぞ。」と額に触れる。


ドキッとしたのを隠すように、


「だ、大丈夫。」ととっさに呟くが


「無理するなよ。」と優しく声をかけられて


頭を撫でられる。


そして、


「起き上がれたなら少しでも食わないとな。

何か持ってくる。いい子で待ってろ。」


そう言って新庄さんは俺の言葉を待たずに部屋を出ていった。


新庄さんは優しい人だと思う。


だけど、その優しさが少し怖かった。


その優しさに慣れてしまうかもしれないと


すごく、怖くて恐ろしかった。

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