第10話
それから新庄さんは
これしか無かったと言いながら
か○卵うどんを作って持って来てくれた。
水分の足りていない喉にはツルツルしてて
食べやすく、すぐに完食してしまった。
「ご馳走様。美味かった、ありがとう。
ここ、多分あんたん家だよな。
ベット占領して、迷惑かけてごめん。」
と俺は新庄さんにお礼と迷惑をかけた事に対して謝った。
「お粗末さまでした。口に合って良かった。
あと、迷惑だなんて思ってないから、顔色良くなるまでまだ寝てな。」
と新庄さんは頭を撫でる。
テキパキと食べた物を下げて、俺を横にならせる。
それから何かあったら声をかけてと言い
ベットサイドにある椅子に座り本を読み始めた。
新庄さんはやっぱり優しい。
俺が八つ当たりして泣いた時も、
落ち着くまで抱きしめてくれて、、、
そう言えば
新庄さん俺の事助けてくれたのに、俺
助けてくれた事にお礼もせず
八つ当たりして、、、
新庄さんの腕の中で寝た、、よな。
何してんだ俺ーーー!
静かな部屋で声が出そうになるのを我慢する。
ま、ま、まず、お礼はするべきだよなと思いつつも、今更な気がしてグルグルと考えてしまう。
はぁ、でも、悩むくらいなら言った方が良いよなと最終的に思い、言葉を発する。
「新庄さん。言うの遅くなったけど、あの時、助けてくれてありがとな。」
と、精一杯の勇気を振り絞って伝えた。
新庄さんは目を見開いて
「その名前、、」とびっくりしているようだった。
あれ?名前あってるよな?
「あんたの名前、新庄さんであってるよな?関って言う俺の事売った上司が会話の中であんたの事そう呼んでたと思ったんだけど、、、。違った?」
と急に不安になって聞いてみる。
「あぁ、そういやそうだったかもな。新庄であってるよ。新庄 章人(しんじょう あきと)よろしく。皆川 碧(みなかわ あおい)くん。」
と新庄さんは微笑む。
同性の男にキレイだと思う日がくるなんて想像もしていなかったが、微笑んだ新庄さんは
凄くキレイだと思った。
「俺の名前知ってるんだね。」
と嬉しい気持ちを抑えて言葉にすると
新庄さんは
「あぁ。俺が採用したからな。」と
何故か悲しげな表情を見せた。
でも俺はすぐに、新庄さんが俺を採用した事を後悔してるんだと理解した。
新庄さんが自分を責めてるに違いないって事も
新庄さんが俺に悪かったと思っている事も
だから、、、
「新庄さん、俺はあんたと仕事がしたい。
俺があんたの力になりたいって言ったら、迷惑か?」
と自信なさげに聞く事しか出来なかった。
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