凍てつく真っ赤なクリスマスイブ

@Marin_navy

愛しい背中

車を走らせる道もフロントガラスも曇りがちに

冷たく白く靄がかっていて

真っ暗な闇にヘッドライトだけが頼りで

まるで私の絶望感と寂しさと孤独に

ほんの少しの希望の道標みたいに

あなたに会いたくて

衝動的に来てみたけど

携帯番号もメールも

やりとりや縁までも断ち切ったいまさら

会いたいなんて伝える術がなくて

パーキングでポロポロ一頻りないて

あったかい飲み物を買いに入ったコンビニに

優しい佇まいのあなたみたいなひとがいて

たぶん、これは

寒くてつらくて悲しみの反動で

マッチ売りの女の子が夢をみたように

私が欲しい幻想なんだろうと

自分が惨めになってきて

足早に店を出て

車を出して

自分を置き去りにして

体だけ家に帰って来たら

いつまでもいつまでも

あなたを想う自分がまだあなたの街にいて

気を取り直しも冷静な自分にも戻れなくて


あの時みた偶然居合わせた人の背中は

涙を誘うクリスマスプレゼントでした。

もしあなたに会えたら

もう後悔しないように

ずっとずっと背中に顔を埋めて

好きだって泣いて

ずっと一緒にいてくださいとお願いすると思います


でも、あなたは私を忘れただろうし

あなたの背中も心も

私に背を向けたまま

これからも変わらないと思います

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