第2話 親友たちは彼女を救おうと試みる







 春乃たちの家を出て自宅に帰っていると、春乃からメッセージが届いた。




はるの

『みくみく!!』

『明日、すずちゃんたちも記念日だからお祝いしに行ったげて!!』


美来

『春乃たちは行くの?』


はるの

『私たち明日予定あって行けないの……』

『私と幸樹がおめでとうって言ってたって伝えといて!!』

《ゆるキャラが祈りを捧げるスタンプ》




 どうやら、明日は二人とも予定があるようだ。


 涼菜も親友だし、春乃たちのお祝いに行った以上、終わらせる前に涼菜のお祝いにも行くべきだろう。




美来

『うん、ワタシもお祝いしてあげたいし行くよ』


はるの

『ありがとー!!』

『ずずちゃんたちには私から伝えとくね!!』




 ノータイムで既読が吐き、直ぐに返信が返ってきた。




 ―――春乃たちのお祝いに行ったのだし、そのついでだ。




 ワタシは、そう自分に言い聞かせて再び帰路に着いた。







♢♢♢春乃と涼菜のチャット履歴♢♢♢






はるの

『すずちゃん』

『お願いと謝罪があります』


涼菜

『なに』

『まず謝罪からよろ』


はるの

『明日、私お祝い行かない』


涼菜

『は?』

『このドタキャンはラインギリギリ』


はるの

『これがお願いに繋がるの!』

『まずは話を聞いて!』


涼菜

『仕方ない』

『聞いたげる』


はるの

『ありがと!!』

『それでね、お願いなんだけど』

『明日、みくみくがすずちゃんたちのお祝いに行くからなんとかして』


涼菜

『は?』

『今の美来は呼ぶべきじゃないでしょ』


はるの

『そうなんだけどさ』

『今日突然私と幸樹のお祝いに来て、なんかすごく危なっかしかったの』

『でも、私にはどうしようもなかった』

『だから、涼菜ならなんとか出来るかなって思って』


涼菜

『そんな無茶苦茶な』

『それに、今の美来はほっといてあげるべき』


はるの

『いや、あれは今直ぐどうにかしないと危ないと思う』

『あの美来が3時間くらい喋って一回も笑わなかったんだよ』


涼菜

『マジ?』


はるの

『大マジ』


涼菜

『そこまでなんだ……』

『分かった。出来るだけやってみる』


はるの

『ありがとう。頼んだよ』


涼菜

『じゃあ周斗にも伝えとく』


はるの

『お願い』

『あ』


涼菜

『?』


はるの

『すずちゃんは、出来るだけいつも通りで、思ったことを言ってあげてね』


涼菜

『え?』

『なんで?』


はるの

『多分、適当なこと言ってもいまのみくみくには届かないと思う』

『だから、思いのまま素のすずちゃんでお願い』


涼菜

『納得』


はるの

『じゃあまたね』


涼菜

『うん』





 親友の春乃からのお願い。


 それに頭を悩ませている私―――白石 涼菜は、自分が愛している人を失ったら…………と考える。


 そして、私はとてつもない不安や悲しみに襲われ―――ることはなかった。



 ―――なぜなら、そんなことを想像出来なかったから。


 ―――なぜなら、そんなことになったら真っ先に自分はだろうから。







「ああ、これが答えか」




 私は、答えに辿り着く。


 そして、自分であればどうしたらその答えを変えるに至るだろうかについて思考する。


 自分ならこう言われたらどう感じるか。


 自分が導き出した答えにどう影響するか。


 様々なことを自分で脳内に再現した、愛しい人を失った私に問いかける。




 自分が取るべき最善手を求めて。


 春乃に言われた、ありのままの自分の言葉を、計算し尽くされた言葉を考える。


 涼菜にとって、ありのままの自分とは計算し尽くしたモノだから。




 そして、白石涼菜は辿り着く。


 彼女の部屋の電気は深夜まで輝いていた。




 白石涼菜は、独特である。




 だからこそ、辿り着く答え正答がある。







――― ――― ――― ――― ―――

 面白い。続きが気になる。と思っていただけたら、フォローや応援、評価をしていただけると嬉しいです。

 作者が泣いて喜びます。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る