第1話:まだ寝ていると信じて
「おかえりなさいませ、宇尾火月様」
知らない男の人に名前を呼ばれた、気がした。
とりあえずマップを開く。現在地は、
「火月様」
また呼ばれた、珍しい、同名なんて居るんだな。
「宇尾火月様、貴方ですよ」
「人違いかと…」
「ここには貴方しか居ませんが?」
周囲を見渡す。おいおい、誰もいないじゃあないか。
念のためマップを見る。
「いや、ここどこだよ」
明らかに地図が変わっていた。知らない建物、道、地名。
前のような面影はあるが、全てが全くの別物となっている。
「どうやってここに辿り着いたんだっけ、とりあえず電話すr「火月様、お客様がお見えですので早く行きますよ」え?」
すると強引に引っ張られ、自分の部屋?へと連れて行かれた。
意味が分からないので抵抗できずに…。
「は?なんで
「あ、やっほ」
こいつは四天王唯一の女子、
「やっほじゃないんだよ、なんでここにいんの?」
「いや、気づいたらここに居て?」
「こちらの方は私をt「ストーップ!」失礼しました」
よく分からないが、頼が関わっているんだろう。俺は察しがいいからな。ここの間取りは全く知らないけど。
「なんでストップ?というか、あなたはどちら様で?」
「今日から火月様の執事をさせていただきます、ディオでございます」
ディオ…様。ザ・○ールドでもしてくるんだろうか。それにしては老けている。
とても落ち着いていてダンディな感じ、イケおじだな。
それにしても…
「ハッハッハ、純日本人ですよ。ディオは執事の時の名前でございます。本名は違いますよ、教えられませんけどね」
えぇ、心読めるのかこの人。本名は教えられない?スパイか?
「あはは、そうなんですね」
怖くなってきてしっかり反応できなかった。
だが、何より大切なことをまだ聞いていなかった。
「あの、俺こことは別のアパートに住んでたんですけど、そのアパートはどこに?」
「アパートとはなんでしょうか?」
「え、俺の前まで住んでた、大家さんが立前さんの、『立前アパート』って言うんですけど」
ピンと来ていないようだった。
「頼は分かるよな?来たことあったし」
「えーと、何の話かな?ずっとここじゃないの?」
頼も分かっていなかった。忘れられたのか『立前アパート』、無念。
しかし、二人とも分からないということはホントになくなったのだろう。
「火月様、ここのマンションは『マンションTATEMAE』と言うのですが」
「え?」
意味がわからなかった。
立前の発音が良くなっただけかと思ったら、10階建ぐらいのとても高そうなマンションになっている。
そして、アパートの部屋は1番右の角部屋、201だった。そして、今の部屋は。
「ここ、何号室とかって分かります?」
「201でございます」
もう意味がわからなかった。ここはあのアパートだというのだろうか。現実が飲み込めない。
一日、ましてや半日でここまで様変わりするなんて聞いたことがない。
そして、マンションに入る前に見たマップでは、全くの別物に変わっていた。
「これは夢だ、絶対夢だろ、まだ寝てるだけだろ」
そう信じて、頬を叩きながら202の隣人の元に急ぎ会いに行った。
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次回、頼視点。
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