藍髪のホムンクルス

「メリークリスマス、あなた様」


「今夜は聖誕祭。神の子が生まれた聖なる日。しかし現在は、恋人達が共に過ごす日とされています。一体どこで、いつからそのような風習となったのか、実に興味深い……と、失礼。脱線してしまいました」


「しかし、私の魔眼は人の生命力を視るもの……聖夜たる今日、皆の生命力が活発に動いているのが、とても気になるのです。クリスマス……恋人達は一体、今宵何をし、何を祈るのか。ホムンクルスとして生を受けた私には、想像の余地もなく、また、想像する力も無いわけですが、あなたがいるお陰で、最近少しだけわかる気がするようになりました。そう、そんな気がするだけで、明確な回答を出す事は出来ないのですが……」


「と、また脱線してしまいました。すみません。あなたと話せて、私は少し興奮しているようです。興奮していますよ。何と言うか、こう……ワクワク? ウキウキ? しています。あなたと話していると、胸が弾むような感覚になるのです。それが堪らなく心地いい……そんな心の平穏を与えてくれるあなたに。私に愛を教えてくれたあなたに。心からの祝福を。私からの感謝を籠めました。どうぞ、お受け取り下さい」


「カップケーキです。私自ら作りました。アクセサリー。防寒着。その他さまざまな贈り物を考えましたが、私は自分の気持ちを、あなたの一部として頂く事にこそ喜びを感じるようです。一時的にもあなたの養分となり、血肉の一片となって、あなたの元気の源となる。それが、私にとって最高の至福。もしもあなたが喜んでくれたなら、この胸の高鳴りは限界を迎えるでしょう」


「あなたの好みはわかっているつもりですが、美味しく召し上がって頂けたら嬉しいです。あなたに真の愛情を。もし間違っていたなら……その時はあなたが、教えてくださいね」

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