白髪のホムンクルス

「あら、御機嫌よう。今、ケーキを焼いていたところでした」


「もちろん、あなたへのクリスマスプレゼントです。何をあげようか迷いましたが、やはりシンプルに。かつ、王道で行くと決めました。私のモデルは、王女ですので」


「……は、早く突っ込んで下さい! 恥ずかしい。私ったら、浮足立っているのですね。こんなしょうもない冗談を言うだなんて。まぁ、今日はクリスマスですから、浮かれてしまうのは仕方がないのでしょうが」


「こ、子供っぽいだなんて思わないで下さい! ……え、可愛、い……? そんな、あなた。何をそんな、恥ずかしい! 子供っぽく冗談を言うのも浮かれているのも可愛いなどと言われては、私、私……困ってしまいます」


「あ、や、焼き上がったようです……私の魔術で冷却して粗熱を取り、ホイップクリームを塗って、イチゴとこれを……はい、完成です。どうぞ、お受け取り下さい」


「サンタクロースとトナカイの砂糖菓子……作るのにとても苦労しましたが、上手く出来ていると思いますか? ……そうですか、ありがとうございます。ケーキを焼くのも初めてでしたが、上手に出来てよかったです」


「どんな初めても、あなたのためと思えば頑張れますね。これもまた、愛の力と言えましょう。あなたのためならば、私はどんな事でも出来るような気がします。あなたのためならば、どんな苦痛をも乗り越えられる。あなたに会うためならば、いばらの道さえ進めてしまう。あなたという存在が、私を強くしてくれたのです」


「私のモデルの事は知りません。が、もしも私がモデルのように振る舞ってもいいのなら、あなたも王族のように振る舞っても構わないと思いますよ? ……なんて、あなたには窮屈なのでしょうね。だから無理強いはしません。でもせっかくなら、いつか来る私達の式のために、このケーキで練習しておきましょう。ケーキ入刀は、花嫁達の憧れなのですよ?」

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