緑髪のホムンクルス
「ん。おまえか。おはよう。さっき、街の様子を見て来た。昨日の夜も壮観だったが、今日が本番とあって賑やかだ。私は獣の特性を有するせいか、街の喧騒は好かないが……おまえと一緒なら、行ってもいいかもな」
「それでも何故街に行ったのか? それは……うん、そうだな。誤魔化すような事はあまり得意じゃない。実は、クリスマスプレゼントを探しに行っていたんだ。私は森で狩りをしてばかりだから、おまえが喜ぶ物が見つけられるかどうかわからなかったが、それでも、な……」
「だが、結局……しかし、何も用意しないなどあり得ない。私は生粋の狩人として作られた故、俗世には確かに疎い。が、想い人に贈り物をしたいという気持ちは他の子達と同じ、もしくはそれ以上だと思っている。だから私が用意するのは、これだ」
「森の恵みから作った、アップルパイだ。何だ? 私に料理など出来ないと思っていたか? ははは、確かに私は自他ともに認める生粋の狩人だが、同時に正真正銘の女だ。今どき女が料理を作るなんて当たり前、なんて考え方は古いだろうが、私は出来ないままでいるのも我慢ならない性分なのだ」
「と、偉そうに語ったものの……これらを作るために他のホムンクルスに味見やら失敗作の処分やら色々とさせてしまったが……彼女達のお陰もあって、会心の物が出来たと思っている。どうか食べて欲しい」
「……うん? 一緒にどうだ、と? だがこれは、おまえへのクリスマスプレゼント……そうだな。おまえがそれで良いと言うのなら、そうしよう。愛しい人と、想い人と共に過ごす……私にも、思いがけないクリスマスプレゼントが貰えたよ。ありがとう。あぁ、そうだ。すっかり言い忘れてしまっていたな」
「ハッピーメリークリスマス。愛しているよ、我が愛しい人よ」
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