第二章 日常の会話

 授業が始まってからも、拓真と結衣は休み時間ごとにさまざまな話で盛り上がるようになった。


「拓真くん、最近読んだ面白い本ある?」休み時間に結衣が聞いた。


 拓真は考えるふりをして、笑いながら答えた。「うん、実は昨日、図書館で『星の王子さま』を借りてきたんだ。すごくいい話だよ。」


「ああ、それ私も好き!星の王子さまが狐と友達になるところが、すごく感動するよね。」結衣が嬉しそうに言った。


「そうそう、その狐が言うんだ、「君を特別なものにするのは、君のために費やした時間だよ」と。その言葉がすごく心に残ってる。」拓真が真剣な表情で言った。


 結衣は拓真の話をじっと聞いて、「拓真くん、すごく深いこと考えるんだね。私ももっと色々な本を読んでみたいな。」と感心した。


「結衣さんも、何か読みたい本があったら、いつでも言ってね。一緒に探しに行こうよ。」拓真が提案し、結衣はうれしそうに頷いた。


 このように、日々の小さな会話が二人の関係を徐々に深めていった。互いに興味を持つ話題を共有することで、彼らの友情は着実に成長し、学校生活がより楽しく感じられるようになっていた。


 ある晴れた日の放課後、結衣と拓真は教室で少し遅くまで話していた。


「結衣さん、今度の週末、何か予定あるの?」拓真が気軽に尋ねた。


 結衣は考え込むようにしばらく沈黙してから、「うーん、特に何もないかな。拓真くんは?」と返した。


 拓真は少し照れくさそうに答えた。「実は、何か一緒に出かけたいなと思って。もし良かったら、一緒に映画でもどう?」と提案した。


 結衣の顔が明るくなった。「いいね!何の映画がいい?」


「最近、面白そうなファンタジー映画があるらしいんだ。一緒に見に行こうよ。」拓真が提案し、結衣はすぐに賛成した。


 このやり取りを通じて、拓真は自分の心の中にある結衣への特別な感情に気づき始めていた。彼女の笑顔、彼女の声、彼女のすべてが、拓真にとってだんだんと大切なものになっていくのを感じていた。


「結衣さん、本当にありがとう。いつも楽しい時間をありがとう。」放課後の教室で、拓真は心からそう感謝の言葉を述べた。


 結衣は少し驚いた表情を見せながらも、嬉しそうに答えた。「拓真くん、私も同じよ。一緒にいるとすごく楽しいよ。」


 この会話が終わった後、拓真はますます結衣のことを考えるようになった。彼の心の中では、ただの友達以上の感情が芽生え始めていた。それは、彼女への深い憧れと愛情の始まりだった。

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