第4話 沙耶が笑うと

「沙耶…」


なんでもないある日のこと、いつもの様に彼女に後ろから抱き着いた。


「どうしたの?」

「…笑わない?」

「話によるかな?」

「…真面目に悩んでる」

「笑ったらごめんね。でもその時はあんたが可愛いから笑うって事はわかっててね。」

「うん。」

「…それで?どうしたの?」



「…さあや。」

「うん」

「あんね。」

「うん。」


「沙耶といっぱいしたい。」


沙耶と向かい合って耳に髪をかけた。


「本当はね、沢山したいのにね、我慢出来なくなるんだもんね。知ってるよ…」

「…そういう自分もムカつく。さあや綺麗なのに、もっと色んな顔みたいのに…」


少しづつイラつき始めると、

沙耶が僕の頬を掴んで口を尖らせた。


「なに?なんて言いたいの?」

「うー…だからね…さあやをね…もっとね…」

「うん、あたしをなに…?」


沙耶は笑っていた。


自然と僕も笑っていた。





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