第5話 押し付け

「イク、、出る…さあや…」

「したいことちゃんと言わないとこのまま出させるよ」


「…いい…沙耶…このままでもいい…」

「なに?このまま?」

「お願いします…イかせてください…」


僕は沙耶の手の中にいた。


「まだダメ。」


「…見てほしい。」

「見てるでしょ?」






……そう、この人は代替品。


120%を求めた結果の代替品。





―――――――――――『見ててあげる』


『咲さん…出ちゃうよ…』

『いいよ…出して…』


と言いながらこの人は僕を押し倒しての上に乗る。


そして最高の幸せを与える。

彼女も僕を使って幸せに浸る…。


2人で…どこまでも…。



――――――――――――――――――。


けど今僕は沙耶といる。

理由はいくつかある。


沙耶の悲しそうな顔を想像すると耐えられなかったから。

シンプルに整理整頓が上手。

収納が上手。

無理してなくて最初から綺麗好き。




……そう、咲に申し訳なさが募った。

嗜好を押し付けて、価値観を押し付けて…だから、『』を代替品に選んだ。


最低なのは分かってる。

でも咲の幸せを考えると方法が見つからなかった。

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