第4話 はじめての彼女の部屋にはサプライズがありすぎる
オレは、女の子らしい女の子の部屋に、生まれてはじめて入った。
それに比べて
淡い暖色系で揃えられた部屋の印象は、柔らかく優しい。
その中で強く緊張しているオレは、すごく場違いな場所にいる気がする。
部屋の中でも、オレ的に気になるのは、やっぱり本棚だ。
ラノベも少しあるがそれほど多くはない。
少女マンガが結構ある。
他には国内外の小説やエッセイが幅広くあり、恋愛ものが目立っている。
恋愛ものが多い本棚も、女子の部屋らしい。
※ ※ ※
駅まで迎えに来てくれた
インナーは、トップが首元が開いている女の子っぽいシルエットの長袖のシャツ。
ボトムは、膝上の控えめなミニスカート。
色は全て淡い暖色系で揃えられていて、女の子らしい服装だ。
制服の時よりも、女の子らしさの主張が強くなっている。
それがオレの緊張に拍車をかけている。
※ ※ ※
「読みたい本あったら、言ってくださいね」
本棚の方を眺めていたオレに、
そしてオレの隣に座る。
めちゃくちゃ距離が近くて、オレの緊張がさらに高まる。
※ ※ ※
「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ」
「こんな女の子らしい部屋に入ったのはじめてだから」
「想像と違いましたか?」
「いや、だいたい想像通りかな。
少女マンガも結構読むんだね」
オレが本棚の方を見ながら言う。
「そうですね。
マンガでも恋愛ものは好きなんです」
確かに彼女の本棚の大半は、恋愛もので占められている。
彼女が恋愛ものが好きなのは、春からの会話で理解している。
「小説でも恋愛もの好きだものね」
「他のジャンルよりも圧倒的に恋愛ものが好きです」
「恋愛もののどういうところが好きなの?」
「他のジャンルって、主人公が特殊な能力があったりして、真似できなかったりするじゃないですか。
でも恋愛ものなら、自分もそんな体験するかもって思いながら読めるんですよね」
オレもラノベ読んでいて、ファンタジーや異能バトルものよりも、クリエイターものや日常ものの方が好きだから、その気持ちはわかる気がする。
「なるほどね。
どんな恋愛ものが好きなの?」
「主人公の女性が自由に恋愛する物語が好きですね。
そんなキャラクターに憧れます」
「うん」
「読書すること自体っていうのが、その主人公に感情移入して、色んな恋愛を経験することだと思うんです。
いろんな小説でいろんな恋愛ができるっていうのが、読書のいいところだと思います」
「恋愛ものガチ勢なんだね」
「そうですね。
わたしって恋愛ガチ勢ですね」
※ ※ ※
この恋愛トークの流れで聞いておきたいことがある。
「
図書委員の先輩が元カレって聞いたけど」
「よく知ってますね。
去年の夏からちょうど今年の夏まで、1学年上の先輩とお付き合いしていました」
「それで相手の浮気で別れたって聞いたけど」
「それは間違ってますね。
別れた原因はわたしの浮気です」
びっくりした。
彼女の浮気なんて予想外だ。
「そうなんだ」
「大学生って微妙に夏休みの期間が違うんですよね。
それでほかの男の子と関わっていたら、仲良くなり過ぎてしまいました」
「誰って聞いてもいい?」
「いいですよ。
わたし、恋愛のことは秘密にしないので、何でも聞いてください。
その子は同学年の図書委員の子です」
「このあいだ、図書委員会の帰りに隣歩いてた男かな?」
「見ていたんですね。
彼が
「そいつとは付き合ってたの?」
「いえ振られました。
わたし的には付き合っているつもりだったのですけど、相手にとってはそうでなかったというか……」
「いつぐらいまで仲良くしていたの?」
「文化祭くらいまでです。
それまでは家に遊びにきてました」
またびっくりさせられる。
文化祭の頃は、オレ的に彼女とかなり仲良くなってるつもりだった。
「見間違いだったらごめんなんだけど、そいつ
「そうなんです。
今でもスキンシップだけはしてくるんです」
彼女は平然としている。
その男の感覚も
彼女が笑顔で言う。
「
いや安心できないって。
何でも聞いていいって言われたので、もう1つ聞いてみる。
「他には元彼って?」
「中学生の頃の元彼がいます。
彼とは違う高校になって、でも、高1の頃までお付き合いしていました。
今までお付き合いしたのは、その子と先輩の2人だけなので、
3人が多いのか少ないのかはわからない。
でもオレが考えていたイメージとは随分違う。
恋愛ガチ勢ってそういうことなのか。
※ ※ ※
1人目の彼氏は、高校が違うからオレの周りは誰も知らない。
2人目の先輩も、学年が違うから話題になりにくい。
それで彼女がおとなしい子っていうイメージが周りにできていたんだ。
勝手に相手のイメージ作り上げちゃいけない。
聞いてみたら色々でてくるものだ。
※ ※ ※
彼女が微笑んでいる。
今のオレには不敵な笑顔に見える。
「気になることには答えられていますか?
他にも何か聞きたいことありますか?」
「いや今のところ何も……」
「こういう恋愛の話題を話していると、エッチな気分になってきませんか?
目をつぶってください」
オレは言われた通り目をつぶる。
彼女は、オレの首の後ろに両腕を回して、キスをしてきた。
それも相当に、情熱的に。
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