最終話:あの時見たものは夢じゃない祖母たちが三途の川を渡ろうとした私を必死に叫んでそちら側に来させなかったのだ。靄のかかる浅い川に足を入れた私には水の冷たさは感じられない、只あちら側に行きたかった……

「運がよかったね、脊髄があと2ミリいってたら半身不随になるところだったよ、下手をしたらそのせいで心臓も止まってたね」


「えッ? マジっすか!?」


「まぁ、運がよかったね」


 交通事故でベッド上でコルセットで体を固められた私に医師がそう言う。



 私は、三途の川のむこうの祖母たちに感謝するしかなかったのだった。



おしまい

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ぞぞゾッとするお話 さいとう みさき @saitoumisaki

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