第5話 Class

「じゃあ聞いてくるよ。みんなはどうする?」


「俺はついて行くっす!」


「私もついてこぉ思うんやけど、キョウヤさんはどないする?」


「私もついて行こう」


結局全員で神様的存在に突撃することにした。

しかし、その神様的存在は一度も姿を表していない。

若干出鼻を挫かれた空気が流れかけたその時。


『呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!どーも神様的存在です!

それで、質問だったよね?言ってごらん?』


「うわっ!びっくりしたっす!!」


「……心臓止まるかと思った」


「……確かに心臓に悪いね」


「びっくりやわぁ」


4人の脳内に幼女な声が流れた。

余りにタイミングが良い。

会話を盗み聞きしていたのは確実だ。


ケイは3人をチラリと横目で見る。キョウヤとセリナは油断の無い目で周りを見渡していた。

小太郎は………うん。本当に驚いたことが見て取れる。


「じゃあ遠慮なく。ステータスのCharacteristicsとRaceとSkillを見せて欲しい」


『つまりステータスを解放して欲しいと。んーしてもいいんだけどその代わり………いや、いいや。ステータス解放すればいいのは、この4人かな?』


「うん」


あっさりと交渉が通り、困惑するケイ。

何かしらの条件をつけようとしていたのも、それをキャンセルしたのも気になる。

たらりと嫌な汗が垂れる。まるで、組み立て式の机を組み立て終わったが部品が一つ余ってしまったような。

そんな取り返しのつかない事をしてしまった気分だ。


『はいはい。ちょっと待ってねぇ………ほい出来た。

ステータス見てごらん』


「「「「[ステータスオープン]」」」」


ケイたちは一斉にステータスを開いた。



Name:ヌコ様 (ↀㅅↀ)

Characteristics:空間

Race:魔王

Class:選択してください▽

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・空間の主




『上手くいってる?じゃあ存分に悩んでClassを決めてね〜』


神様的存在はそう言ってどこかに行った……と思われる。

そもそも見えないから分からないし、ほぼ確実に会話を聞かれてるだろうから、あまり関係ないかもしれない。


「皆、確認は済んだかい?良ければ4人で見比べたいのだが」


「ええなぁ。賛成や」


「俺も賛成っす」


「じゃあ僕から見せるよ[ステータスパブリッシュ]」


ケイはステータスを公開して3人に見せる。


「なるほど、ありがとう。何か言いたい事があるかもしれないが、まずは全員分のステータスを見てからにしよう」


そうして3人ともステータスを公開する。



Name:キョウヤ

Characteristics:神話

Race:魔王

Class:選択してください▽

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・神話再現



Name:†ダークネスロード†

Characteristics:大罪

Race:魔王

Class:選択してください▽

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・七大罪



Name:セリナ

Characteristics:妖魔

Race:魔王

Class:選択してください▽

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・百鬼夜行



各々のステータスを見比べる。

印象としては、ほぼ同じと言う所だ。

違う所はCharacteristicsとそれに影響されていそうなSkillの最後の一つ。



「皆、似たようなステータスだね。しかし特徴が神話か………

一体どういう意味なのか……」


「せやねぇ……私も妖魔でよう分からんわ」


「七大罪ってめっちゃかっこいいっす!もう俺はダンジョンのコンセプトが決まったすよ!」


「ダンジョンのコンセプト?それはどういう事かな?」


ステータスにあるCharacteristicsに悩むキョウヤとセリナ。

そんな中、小太郎は新たな厨二要素に歓喜する。

しかしケイはそんな小太郎の発言が気になったのか疑問を投げかけた。


「えっと、Characteristicsって特徴って意味じゃないっすか。俺、じゃあ特徴って“何の“特徴だろうって考えてて。最初は俺自身の特徴だって思ってたんすけど、ケイさん達のを見て違うなって。で、他に可能性があるならダンジョンかなって」


意外としっかりした答えが返ってきて驚くケイ。

中学2年で厨二病全開な小太郎だが、馬鹿ではない。

ちゃんと己で考える事は出来るのだ。厨二病だが。


それはさておき、小太郎の答えは割と正解に近い。

Characteristicsは“何のCharacteristicsなのか“と言う部分が重要だ。

それは小太郎の推理したようにダンジョンの特徴という風にも捉えられる。


しかしダンジョンの特徴と一言に言っても要素は多くある。

ダンジョンの環境、モンスターの特性、罠、出てくるアイテムなど挙げればキリがない。

果たしてCharacteristicsは、その一部のみ適用なのか?それとも全てに適用なのか?

如何に正しく意味を理解し、使うかが大切だ。


「では私の作るダンジョンは神話の要素が出てくると言うことか?」


「いやぁ、ちゃうやろ。

アンタさんはこの特徴のダンジョンを作ればええんちゃう?っていうアドバイスとちゃうか?」


「それはあるかもね。明らかにSkillの最後はCharacteristicsに影響を受けてる。

Skillとダンジョンのシナジーって観点で見るなら小太郎、セリナさんの言う通りだと思うよ」


考察が進む4人。

小一時間は熱い議論を重ねていたが、気づくと当初いた人数の半数はどこかに消えていた。

そして、Classの選択肢が少なくなっていた。


灰色になって選ぶ事が出来なくなったClassはちょうどいなくなった人数と同じのように感じる。

それは4人の目の前で一人、虚空に溶けるように消え、灰色の選択肢が一つ増えたことで確定事項となった。

文字通り早い者勝ちのようだ。4人が目をつけていたClassがいくつも灰色に変化していた。


結局、それぞれのCharacteristicsにシナジーのあるClassを選んだ。

以下がそれぞれのステータスだ。



Name:ヌコ様 (ↀㅅↀ)

Characteristics:空間

Race:魔王

Class:生物学者

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・空間の主



Name:キョウヤ

Characteristics:神話

Race:魔王

Class:演者

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・神話再現



Name:†ダークネスロード†

Characteristics:大罪

Race:魔王

Class:魔術剣士

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・七つの大罪




Name:セリナ

Characteristics:妖魔

Race:魔王

Class:祈祷師

Skill

・支配領域生成

・魔物ガチャ

・アイテムガチャ

・百鬼夜行


小太郎以外はあまりパッとしないClassである。

それは目をつけていたClassが取られていたこと。

ステータスとのシナジーを考えた結果だった。



『お、君たち終わった?お疲れ〜。

じゃあ次の段階、ダンジョン設置場所を決めてもらうから』


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まさか白い空間でこれだけ話数取るとは……。

次回は白い空間を出ます

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