第2話 まさか、ここはかの有名な……!

摩訶不思議な体験をした夜。

男はベットの上にいた。

すでに電灯は消えており、あとは意識を落として寝るだけと言う状態。


ウトウトとした意識の中で男は思う。

結局、あれは何だったのだろうと。

講義が終わった後、男はニュースを漁った。


あの不可思議な体験について取り上げたものはないかと。

昼食時に見た感じ、それなりの人数がフリーズしていたので上がっているだろうと思ったのだ。

しかし予想に反してニュースはあの出来事を取り扱っていなかった。


友人にも聞いたが、頭の健康を心配された。

有名な掲示板も確認したが、スレは立てられていなかった。

まるで不当な圧力を受けているとしか思えないほど、不自然なほど話題に出ない。


モヤモヤしたものを抱えながらも男は眠りについた。

そして男は眩しいほど真っ白な場所で目が覚めた。


「は?」


いきなりの事で頭が事態に追いつかない。

周りを見渡すと同じように混乱する人々。

誰も彼もが白い貫頭衣のようなものを着ている。


目線を下げると自分も貫頭衣らしきものを着ていた。

着替えた覚えはない。となると夢か?と思い、軽く頬をつねってみると痛みはなかった。


「(やっぱり夢か。しかし、夢ってのはこんな顔も知らない人物まで出るものなのか?)」


ざっと目視しただけでも100人とか200人は超えている。

夢というのは脳が記憶の整理をすることで起きると言われているが、この光景に男は特に心当たりはない。

強いていうなら、セミナーに参加した時の光景や講義の光景に近いが、その割には知った顔がない。


「(意味分かんねぇ。それにしても変化のない夢だな。景色も白一色だし)」


暇だった男は近くにいた人に話しかける。


「すみません」


「えっ!ぼ、僕ですか!?」


話しかけた相手は男子生徒。

中学生くらいだろうか。

身長は男よりも高く170ほど。

そしてイケメンだ。


「はい。ちょっと状況が飲み込めなくて。

夢なのに全く変化がないから話しかけちゃいました」


「え?ここ夢なんですか?」


「はい。試しに頬をつねってみても痛みはありませんでしたよ」


「わ!本当だ!何だぁ……てっきり異世界召喚とか、そんな感じだと思ってたのに……」


「異世界召喚?あー、ここが女神様がいる空間って事かな?」


「そう!そうです!異世界転生分かるんですね!」


「まぁ、これでもオタク歴は長いからね」


異世界転生の話で盛り上がる二人。

周りが困惑しながらも他の人の様子を伺っている空間では異様に目立った。

だからなのか、そんな二人を見て他の人も会話に加わってきた。


「少しいいですか?」


「私もいいですか?」


加わってきたのは、渋い感じとおじさまと上品そうなお姉さん。

おじさまは貫頭衣ながらダンディな雰囲気が漂っている。

一般人では出せない雰囲気だ。


お姉さんも貫頭衣ながら気品があった。

美人には何を着せても似合うとは良く言ったものだ。

中学生くんはポーとお姉さんに見惚れている。


「どうしました?」


「会話が聞こえたものでして。どうやら、この状況に心当たりがありそうな感じでしたので、話を聞けたらなと思いましてな」


「私も同じです。仮に心当たりがなくともグループで固まっておこうと」


どうやら二人は今の状況の情報を集めに来たようだ。

情報収集は大事だ。何事も情報がなければ始まらない。

質問に答えたのは男。


「なるほど。残念ながら私たちも心当たりはありません。先ほど話していたのは、いわゆるサブカルのお約束と状況が似ているなと盛り上がりまして。だよね?」


「は、はい!異世界転生って言うジャンルの、ラノベとかアニメにありがちな展開と似ているんです!」


と中学生くんが男の言葉の補足をする。

しかし二人はピンと来なかったようで僅かに首を傾げている。


「ふむ。サブカルには詳しくないので、完璧には理解できないのですが、似たような状況がフィクションではあると?」


「そうですね。その認識で大丈夫です」


「では、この後はどのように物語が展開していくのですか?」


「うーん、そうですね。君はどう思う?」


「ぼ、僕ですか!?そうですね……

もし、これが異世界転生なら神様的存在がやって来て、今の状況を説明して、転生特典を付けて異世界転生って流れだと思います」


異世界転生にありがちな展開を話す中学生くん。

その中学生くんの回答におじさまとお姉さんは厳しい表情で黙り込む。

まぁ良くある異世界転生とは側から聞けば意味不明なものだ。


やれ、ミスって死なせてしまったからお詫びで異世界転生。

やれ、不幸な人生だから哀れみで異世界転生。

やれ、トラックに轢かれて異世界転生。


どれも一般人が聞けば中々理解し難いものだろう。

最後のトラックは尚更だ。

トラックにはいつの間に異世界に飛ばす機能がついたと言うのか。


「その通りだとすると理不尽にも程がある。誘拐と変わらないではないか」


「そうですね。それに異世界に転生させる目的は何なのでしょうか?」


「それは作品によって様々ですね。魔王と呼ばれる存在を倒すためだったり、お詫びだったり」


「お詫びですか?」


「はい。神様的存在が……」


「間違ってその人を死なせちゃったお詫びとして異世界転生をさせてくれるんです!

それもチート能力を付けて!」


中学生くんの言葉に凍りつく空気。

今の状況で気づいては不味いワードが入っていたからだ。

男も今更ながらに気づいた。


「(え、もしかして僕死んでる?いやいや、死ぬような要因はなかったはず……

と言うことは、この状況は異世界転生ではない?)」


「けど、何も死ぬような原因は思いつきませんから、それはないでしょう。

他にもVRMMOって可能性もありますし」


「VRMMO、ですか?」


「はい。メタ○ースは知ってますか?」


「ええ、確かバーチャル空間の商業空間の事ですよね?」


「あれをもっと進化させてMMOというジャンルのゲームの世界を体験すると言うのがVRMMOです」


自分が死んだと言う可能性から目を逸らしたくて、別のジャンルを話題に上げる男。

今度はお姉さんが食い付いてきた。

顔を真っ青にしていたので彼女も他の可能性に賭けたかったのだろう。


「あ、読んだことありますよ俺。確か、[ステータスオープン]って言ったらステータスが……ってええぇ!!!」


突然叫び出した中学生くん。

周りは突然叫んだ中学生くんにびっくりして距離をとっていた。


「どうしたんだ?」


「ス、ステータス画面ですよ!ここにステータス画面が出てます!!」


中学生くんが自身の胸辺りの高さの宙を指さしているが、他3人には何も見えない。

傍目から見ると、他の人には見えない何かを受信している電波人間だ。

友人もこう見えたのだろうか?と思った男。確かに頭の健康を心配してしまう。


「試してみるか……[ステータスオープン]」


すると男の丁度胸あたりの高さに透明な板のようなものが浮かび上がってきた。

しかも何やら書いてある。

ドクドクと興奮する心臓を宥めながら、内容を見る。



Name:未定

Characteristics:未定

Race:未定

Class:未定

Skill

・未定



そこにはいかにもな内容が書かれていた。


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後一つ、頑張れば後二つ更新できます。

よろしくお願いします!!!

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