救済計画準備期間

第1話 要請

『該当人類に告げます。これより救済計画を実行します。伴って貴方方には協力を要請します。

該当人類は携帯端末に送られているメールを開いてください』


ある日。ちょうど昼頃、幾人かの人類の脳裏のこの言葉が流れた。

ある者は箸を落とし、ある者は海老天を咥えた所で停止し、またある者はカレーうどんの汁が真っ白なTシャツにかかって、芸術的なTシャツに変化し………最後は関係ないか。


とにかく、唐突に起きた不可思議な体験に皆が体の動きを止めていた中、一人の男がいつもの態度を崩さず、食事を進めていた。


「(救済計画って。思春期に罹患する病でもあるまいに。

幻聴かな?やっぱり徹夜でゲームしたのが効いたかぁ?いや、それにしては停止してる人間が多いね)」


男は(まぁ、あり得ないけど……)と心の中で誰かに言い訳をしながら、スマホを起動。

全受信と書かれたメールボックスを開く。その中にあるメールはバイトアプリや読書アプリの通知で溢れかえっていたが、一番上に協力要請という要件が書かれた新規メールがあった。


「マジかぁ」


思わず呟いた言葉は、時が戻ったように動き出した人々が立てる雑多な音の中に消えた。

男はメールをタップし、開く。

内容はこうだ。




あなたは協力者に選ばれました。拒否権はありません。

つきましては、これからいくつかの質問に答えていただきます。

虚偽の回答をしても構いませんが、あなたの為にならないと忠告します。

https://〜〜〜〜



リンクがあったのでタップしてリンク先に飛ぶ。

ウイルスなどが怖かったが、それなら人の頭に干渉して語りかけてくる方がよっぽど恐ろしい。

リンク先は某巨大エンジニアリング企業の質問フォームのようなものだった。


Q1:あなたは騒がしい場所が好きですか?


・はい

・いいえ

・どちらともいえない


男は“いいえ“を選んだ。速攻。それはもうびっくりするほど。


「(好きなわけないね。むしろ嫌いだ。好きなら今、ボッチで飯食ってないんだよ)」


Q2:あなたは我慢強い方ですか?


・はい

・いいえ

・どちらともいえない


男は“いいえ“を押した。

今回は少し迷ったようだ。


「(どちらかと言うと、近道を探すタイプだからねぇ。我慢強くはないよね)」


Q3:あなたは嘘は必要だと思いますか?


・はい

・いいえ

・どちらともいえない


男は迷わずに“はい“を押した。


「(逆に嘘があるから社会が成り立ってるんだけど。ありえんレベルのブスが相手でも初対面でブスですね!って言う訳ない)」


その後も質問は続き、100個の質問を答え終えた。

送信ボタンを押して、どこかに回答を送る。

するとメールボックスに新しいメールが入った。



回答を受け付けました。

回答内容を精査し、あなたのCharacteristicsに反映します。

ありがとうございました。



「これだけか」


男は落胆した声色で呟く。

あり得ないと分かっていたが、やはり何処か期待していたのだろう。

非日常な出来事が起こる事を。


「(はぁ……つまんないなぁ。あの質問も本当に意味があったのかどうかさえ怪しいし。

あー、次は第二外国語かぁ。面倒だなぁ)」


そういえば、と男は思う。

Characteristicsってどう言う意味だっけ、と。


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初回なので後二つ三つは更新します。

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