第8話
「今朝そういう夢を見たんです。
「いや、よく教えてくれた。ありがとう。君は命の恩人だ」
「……今の話を信じてくださるんですか?」
きっと、わけのわからない夢の話などいくらでも作れると鼻で笑われるだろう。
そういう反応を予想していたレーナは、あっさりと信用してもらえたので逆に驚いてしまった。
「私の夢、本当によく当たるんですよ」
「うん。だけど今の話は宴が終わるまで誰にも言っちゃダメだ。俺が自分でなんとかするから」
「……わかりました」
肩に手を添えられ、真剣な瞳でそう言われたレーナは絶対に沈黙を守ると心に誓った。
しかし、どうして夢の話を怒らずに聞いてくれたのか、どうやって盛られた毒から免れるというのか、レーナの頭の中には疑問が残ったままだ。
(それに、いったい誰が毒を盛るというの? そんな恐ろしいことを……)
万が一、王族が毒入りの飲み物を飲んで命を落としてしまったら、犯人はこの王宮から追い出されるだけでは済まない。
王族殺人の罪を問われ、自分の命で償わなくてはいけなくなる。
「大丈夫だ。レーナ、また会おう」
むずかしい顔をしたままのレーナの腕をやさしくさすり、爽やかな笑みをたたえたオスカーは彼女に背を向けて立ち去った。
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