「君」「幻想刑 第六氷期」

「君」




なんかこの季節になると隣にさ

いてほしいんだよ なあって気分




よく死なねえなあ俺はと思って

生きてんだよね君と同じで




第二ボタンでコイントスする親友

裏が出て何も起こらない春




くちびるは美味しい思い出は苦い

君は美し 僕はきたない




希死念慮の中にある「しね」

喜望峰の中には「うほーーう!!!」とゴリラが




かみさまが見えないところに隠してる

きたないところを「君」と呼ぶのだ




人生のはやくも転を越えた気が

するのお前のいない日常




あれがデネブアルタイルベガ

君が指差す暗黒魔界闘士『三凶将』、倒す必ず倒す




この右手天然ものの嘘発見器

汗を感知し見分けるのです




こちら側渡れないならまあいいさ

けどLINEとか時々してよ




握れずじまいの冬の温もり

渡せず終わったハンドクリーム




ちいかわの帯を変えては笑ってる

最近イチオシの「少年愛」








「幻想刑 第六氷期」




花嫁を沖へ沖へと引き摺る手

揚がる首長竜の屍




「異能と魔法は違うのよ」と言って

戦艦を焼け初陣の魔女




大淫婦貫く一角獣の魔羅

森は焼け落ち燻るばかり




死霊立ち並ぶ夕暮れ廃病棟

天使来て皆貪られる日




歯車は瞑目すれば回せるさ

轢き潰せ自我持たされぬ人形




この味がいいねと君が言ったから

1月1日はホモ・サピエンスデー




永遠のメリクリ サンタも凍てついて

生きるもの無し 第六氷期




にきび掻き がりりと剥がれ 落つ鱗

赤く煌めき 夢の始まり




────────────────────


『ちいかわの帯を変えては笑ってる

 最近イチオシの「少年愛」』


ちいかわの帯を変えるという遊び。よくないけど面白がってしまう。上半分と下半分のギャップで。そういうギャップを目指したのがこの連作。「君」と「第六氷期」のズレを味わって欲しい。



『永遠のメリクリ サンタも凍てついて

 生きるもの無し 第六氷期』


「永遠の」は「えいえんの」と読み。

地球の歴史上、氷期は五度あったといいます。六度目にはサンタクロースも耐えられなかった、そんな全球凍結を幻想的に詠んでみたかった。なかなか好きかもという自画自賛。

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