第5話:メガネちゃんメガネは伊達じゃない。
ある日、僕が勤務する派出所の近所の一般民家で盗難騒ぎが起こった。
被害にあったのは5軒で全家、同じ手口で家の中を物色されてお金や貴金属などが
盗まれた。
当然、犯人逮捕に向けて警察が動きはじめた。
もちろん渉も操作に参加していた。
だけど窃盗犯は案外用意周到で、防犯カメラにもその姿は写っていなかった。
現場検証でも犯人を特定できるような証拠もでなかった。
警察もお手上げ・・・犯人は浮かび上がらず焦るばかりの日々が続いた。
僕の帰りが遅い時はメガネちゃんも母ちゃんも心配した。
僕がくたくたになって帰ると、さっそくメガネちゃんからの質問。
「ワタルちゃん、最近帰りが遅いけど・・・なにか大きな事件に携わってるの?」
「メガネちゃんには関係ないことだから・・・気にしないで」
「私、心配だな?・・・私にも手伝えることあると思うんだけど・・・」
「ねえ、私に話してみて?・・・なにか役に立てるかもしれないよ?」
「これでも私、めっちゃ強いんだよ」
「ん〜・・・・だけどメガネちゃんを危険に晒したくないし・・・」
「殺人事件とかじゃなくても窃盗だからって侮れないからね」
「窃盗?・・・相手は泥棒さんなの?」
「泥棒にさんはいらないからね、メガネちゃん」
「今はね、証拠がまったくなくて、お手上げ状態」
「昼間の検問や夜の近所の聞き込みもしてるんだど手がかりなしなんだ」
「私をどなたかの窃盗現場に連れて行ってくれない?」
「なにしようっての?」
「こんな時こそ私の力を使って?」
「もしかしたら泥棒さん、見つけられるかもかも・・・」
「まじで?・・・どうやって?」
「泥棒でしょ・・・私のかけてるメガネって、現場の残像をキャッチできるんだよ」
「このメガネアフターイメージ・リプロダクション・デバイス「残像再生装置」って
機能も備えてるの・・・」
「私にはそこで起きた出来事が手に取るように分かるの、その残像をパソコンに
転送して顔写真から指名手配書を作ればすぐに犯人捕まえられるから・・・」
「まじで、すごいことできるんだねメガネちゃんって」
「ね、だから私を現場に連れてって」
「なら、それって僕が持って行って使ったらいいんじゃないの?」
「ダメなの・・・このメガネは私用だから誰にでも使えたらトラブルの元でしょ?」
ってことで僕はメガネちゃんを連れて窃盗に合った一軒のお宅を訪ねた。
一応事件の操作だってお断りして現場を調べさせてもらった。
メガネちゃんは部屋の隅々まで調べて回った。
で、メガネに捉えた残像をさっそく派出所のパソコン転送してもらった。
そしたら映ってたね・・・犯人が・・・いや犯人たちが・・・
泥棒は三人、そのデータは本庁にも転送されて手配書が作成された。
メガネちゃんのメガネが映し出した手配画像を参考に一週間も経たないうちに
タレ込みや聞き込み、警察の懸命の操作によって犯人の居所が確認された。
つづく。
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