じつは全てが
釣ール
やがてまぼろし そのうちほろぼし
けやきがないから おちばがあるぞ
あのこがなくから このこがおこる
ひとりふたりとそこにおちる
おちたあのこは なくのをやめた
ひろったおちばをかけてやる
かぜがつめたい ひともつめたい
やがてまぼろし そのうちほろぼし
今日も送られた動画をチェックし、カンタンなフレンチトーストにコーヒーをそえて
省エネの時代で
はるか昔の動画に見えるかもしれない。
そのわりには歌の
今のインターネットでこの手の恐怖をさそって
ただしゼロではないから
何十年も映像制作スタッフ……ましてやホラーをあつかっていると人間が
調べを進めると某県の町にかつて
他スタッフの聞き込みによると、町のお
しかもこの町出身の動画クリエイターが表向きは
町の人たちも動画クリエイターの
もともとこの歌について調べていたし、許可も結果的に撮れたので
────お
「今日死ぬのは誰か? さあみんなで当ててみようか」
だから
口も性格も悪い友達のひとりだよお前は。
「もしこれでみんなが誰しも考えてる嫌いな誰かを消せる効果があったら
そんな友達の彼女も十八歳超えた成人なんだから変なイチャつき方しないでくれよ。
「
意味が分からないんだけど?
職業とか肩書きで決める時代だったとしてもマジで意味が分からない。
そういえばいいのに長いつきあいでもあまり二人に
ムエタイファイター・
こんな
世も末じゃないかと空をけりとばしてやりたい人間社会への不満と昔からそうだったじゃないかと説得するもう一人の自分がいてなんとか気持ちを落ちつける。
「
憎い相手を消す方法を話していた人の口から出る言葉じゃない。
でも保育士見習いだから仕方ないか。
とりあえず聞いてみた。
「なんか動画クリエイターが意味不明な
「で、
え?
そんなヤバい動画があるの?
でも
それなのに単なる
「動画クリエイターはあくまで
ツッコミどころしかない。
あれ?これってよくホラーで経験する感覚?
〇な家とかそういう。
「
二人は体調不良になった子供たちの
なんでもウソで子供たちに『怖い話ができるのはホラー関係の仕事をしていたからだ』と言ってしまってそのスキルを
「前払いで
口と性格は悪いが子供たちのことを考えている。
そこにウソはない。
「わかった。で、心霊? か分からないけど俺は動画クリエイターの場所まで行って他にやることは? でまかせとはいえホラーについてくわしいなら全部教えてほしい」
そして二人からホラードキュメンタリーのやり方を
参考になるか分からないが
「聞き込み、張り込み、
一応ジムには伝えられる
万が一ジムの子供たちに何かあったらおそかれはやかれ真相を知りたくなって行動していたかもしれない。
今、
いつ間違って
なんか引っかかるんだよなあ。
素人でもできることはやろう。
────戦いはすでに始まっている
情報化社会でみなが神経質になっているからか、マスコミ関係には冷たい視線と親切な方との差に何度もめげそうになった。
昔は若手と共に心霊番組スタッフとして慣れていた仕事もフリーランスになって一人でやっていくうちに限界を感じるようになった。
聞き込みももう少し
エナジードリンクを飲みながら聞き込みを続け、動画クリエイターの居場所をつきとめた。
言い方は悪いが町に
「初めまして。心霊番組スタッフの
動画クリエイターは少し間をおいて考えながらもアパートに
「ちょっと待ってください!」
え?
ものすごい力と速さでせまってきた身体は小さいがおそらく十代終わりか二十代前半の男性がやってきた。
「その人と同じ仕事をしています。ですので僕もいれてください!」
そのわりには全く心霊番組には
動画クリエイターに
「そのパワー。うちに欲しいよ君」
「あれ? あまり驚いてない? ま、まあ後で
よく見ると彼の身体は無駄な脂肪も筋肉もなかった。
最近格闘技がはやってるらしいけどおそらく彼は小さい頃から鍛えつづけているのかもしれない。
これは
でも力がある人が急にやってきたうえ話も通じそうなので運が良かった。
もし動画クリエイターがあばれたら彼にまかせよう。
*
なぜ
午後十三時過ぎ。
店員に話をした方がはやいと考えた
誰に話を聞いたら真相にたどりつけるか。
動画クリエイターの住んでいる場所をつきとめた方がいい。
でも少しだけ動画の
それから町にも慣れて子供たちの体調不良に関して話を知っていそうな人物からなんとかヒントをいただいた。
「いやあ今日は聞き込みが多いねえ。でもお兄さんは単純に子供たちのことが心配なのかあ。なら、伝えておかないといけないね」
一人のおじいさんが話をしてくれた。
ある動画クリエイターがやってきてから、町の子供たちが
動画クリエイターが子供たちと関わるにはもうひとつ理由があった。
ヤングケアラーの女子中学生がいて、不登校になっている男子中学生がインターネットや町の
不登校の男子中学生も古い学校の体制に文句があり、ヤングケアラーの女子中学生を助けてくれない現実を町の大人たちにうったえていたらしい。
それでもなにも出来ない町の大人たちは自分たちの責任だと感じつつも子供たちの手伝いまではできず、さらになにもしてくれないマスメディアに
動画クリエイターはその二人の中学生のために得た収益を使って一緒に悩みを解決しようと考えて行動してくれているらしい。
「話だけ聞くと良いことなんだけどねえ」
問題はここから。
今まで動画クリエイターが二人の中学生以外の子供たちにもはげまし、悩みを聞くだけでなく行動して日本各地の口だけでなにも行動しない支援機関を否定しながら身体をはって助けていた。
その行動は過激になり、不気味な動画をつくりはじめて町の
居場所がなくなったはずの動画クリエイターはそれでも二人の中学生を心配し、
「自分たちもあの人を責めるつもりはないんだ。子供たちに罪はない。動画クリエイターっちゅうお兄さんも子供たち以外に恨みをかかえながらもあいさつはしてくれたし、困ったことがあったら金目当てではなく助けてくれた。ただ、自分たちは無視したくなくてもなにも出来ないまま過ごすしかなくて困っておった」
それから町で動画クリエイターの居場所を聞こうとするとあきらかにこの町の人ではない女性が聞き込みをしながら歩いていたのを知る。
ここはファイターとしての
やはり。
プロのマスコミなのか分からないが女性は動画クリエイターの家をつきとめていた。
そこへ急いで
────
動画クリエイター。
仮の名を木村さんとして
何か
「私はもともと児童施設の職員だった。人間関係でやめて、転職をくりかえしているうちにどうしても地方の子供たちの力になりたいと考えていた。フリーランスなんて私には無理だと思っていた中で児童施設でウケていたネタを動画にしていたら収益化に成功した。それでも長く売れ続けるのは不可能で自分の暮らしばかり考えてもいいことがないと
二人の中学生はある
けやきがないから おちばがあるぞ
あのこがなくから このこがおこる
ひとりふたりとそこにおちる
おちたあのこは なくのをやめた
ひろったおちばをかけてやる
かぜがつめたい ひともつめたい
やがてまぼろし そのうちほろぼし
若い男性は同じ番組のスタッフという設定を忘れて驚いていたがすぐに演技をする。
「木村さん(仮)はヤングケアラーの女子中学生とおそらく彼女のため不登校になった男子中学生のために
木村さん(仮)はその話を聞いたとたん若い男性に台所へむかっていって持ち出した
「仕事が出来る人間は嫌いじゃないですよ」
「うちのスタッフが
ここまでなら
木村さん(仮)は包丁を持ったまま二人に近づいた。
若い男性は
「いくら事情があっても一人の女性へ武器をむけることは許しません」
若い男性が落とした
部屋の奥から二人の中学生らしき子供が現れた。
「その
女子中学生は古い箱をあけてもやがかかった
木村さん(仮)は「やっと完成したのか」と半笑いで見とれていた。
「いったん引きましょう!」
若い男性は
「あなた、何者?」
若い男性は自己紹介をしながら、追ってくるケモノへ飛び
「
理由はどうあれ別の仕事をしている人が手助けしてくれるとは。
ならば。
「そのアイテムなら効きめがあるかもしれない!
ケモノが消えて二人の中学生がなきくずれる。
そんな二人の背中を木村さん(仮)がさすってなぐさめる姿を見ながら。
*
二人の中学生は大人しく動画とケモノを出した箱を渡しくてくれた。
「信じてもらえなくていい。でも話す。俺も昔はいじめられていたし、格闘技で救われたわけじゃなかった。社会から受ける
「木村さん(仮)。今回の件はドキュメンタリーとして記録させていただきます。今は数ある
木村さん(仮)は涙が止まらず、社会への不満をここでは書けないぐらいさけび続けた。
「年末で見る格闘技イベントでは見られなかった動きをありがとう。それは置いておいてあなたも何か目的があってこの町に聞き込みをしていたんだ。くわしくは聞かないけど私では解決できなかった。まだ問題はやまずみだけど副業がいいなら一緒に仕事をしない?」
断られる前提で頼んでみた。
「子供たちに約束しちゃいましたからよろこんで。それにジムの子供たちやインターネットを見てる子供たちを守るためにも……あと
よく見ると彼は親しみやすい顔の
まだ若いのに。
こうして一つの事件は解決した。
もちろん
二人の中学生と一人の青年が現実でかかえる生きづらさ。
だからこそ
決してこの世界は美しくもなく、
それでも
【了】
じつは全てが 釣ール @pixixy1O
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