第4話 オっサン何故か脅されたってよ
しっかりと寝て起きたシボル。起きるとベッドの上だったので少し戸惑っていると、部屋の扉が開いてミホが入ってきた。
「あっ、シボルさん。目覚めましたか。体調はどうですか?」
「ミホちゃんおはよう。オっサンどれくらい寝てたかな?」
寝ぼけ眼でそう聞くシボルにミホはニッコリと笑って
「ほんの十時間ぐらいでしたよ、シボルさん」
そう告げた。
「えっ!? じ、十時間も寝てたの、俺?」
「はい。ごめんなさい、私みたいな足手まといを連れてたから本当に疲れてしまったんでしょう? かなり気を遣って下さってたし。でも私も自分の能力を知りました。なのでこれからはシボルさんと一緒に力を合わせて生きていけます!!」
『えっと、あれ? ミホちゃん、俺としてはどこかまともな人が多い町なんかでミホちゃんとお別れして一人でノンビリ生きていくつもりだったんだけども…… なんか一緒に生きていくって言われちゃったらオっサン勘違いしちゃうよ!? いや、そう言うのを自意識過剰って言うんだよな。こんなオっサンにミホちゃんのような可愛い若い子が惚れる要素は何処にも無いんだから! 自惚れるなよ、俺!!』
ミホの言葉に黙り込んだシボルを不思議そうに見るミホ。
「どうかしましたかシボルさん?」
「あっ、い、いや何でもないよミホちゃん。それでナリアさんが待ってるのかな?」
「そうでした!! 実は昨夜の内に神竜様もここに来られたみたいで、シボルさんが起きて来られるのをお待ちになってたんです。シボルさんの体調が大丈夫なら神竜様の所にご挨拶に行きましょうか」
『ぎょえーっ! ヤバい! 神様をお待たせしてたなんてっ!! 疲れてたとはいえ何で十時間も寝たんだ俺っ!!』
内心で慌てまくるシボル。恐る恐るミホに尋ねる。
「あの、ひょっとして【遅い!】 とかって神竜様はお怒りじゃないかな?」
シボルの恐る恐るの問いかけをミホは笑顔で否定した。
「アハハ、大丈夫ですよシボルさん。神竜様は神様と思えないぐらい気さくな方で、私ともにこやかにお話をしてくれましたから。とても心優しい穏やかな神様です」
ミホからそう聞いて少し安心するシボル。そしてこれ以上お待たせするのは悪いと急いでダイニングキッチンに向かった。
「すみません、お待たせしましっ!?」
そしてダイニングキッチンに入って挨拶しようとしたシボルに強烈な殺気が叩きつけられた! 常人ならばその場で気絶して倒れてしまっただろう。
『グッ!? クソ! 動けねぇ!! こりゃ高校一年の頃に最後の試練だって爺さんに軍刀で殺されかけた時と同等か、いや、それ以上の殺気だなっ! 後ろにいるミホちゃんは大丈夫か? 振り向けないが…… 動くとこの場でチビりそうだ……』
それは格好悪すぎるから絶対に避けたいななんてちょっとまだ余裕がある感じのシボル。
一分…… いや実際にはそれよりも短い時間だったのだろう、キッチンにお茶を持って入ってきたナリアが何処かから取り出したハリセンによって神竜の頭を叩く事によって殺気はようやく霧散した。
「コラッ!! 神竜様! アタシの客人に殺気を向けるなんていくら神竜様でもダメさねっ!!」
チラっとしかシボルには見えなかったがナリアが手にしたハリセンは
「何をする、ナリア! 私はこの男の胆力を試してっ!?」
「兄さんの後ろにはお嬢ちゃんも居たんだよ、神竜様。いくらこの兄さんが壁になっていたからって神竜様の本気の殺気を全て防いだりは出来ない…… 出来たのかい?」
「あの…… シボルさん。突然に立ち止まってどうしたんですか?」
ひょこっとシボルの背後から顔を出してそう聞くミホを見て唖然とするナリア。
「ハア〜、本当に色々と規格外だね兄さん。まあ良いさ取り敢えずお座りよ。紹介するよ、こちらがこの神竜山に住む神竜様さね。名は言えないよ。
ナリアに言われて座るシボルとミホ。
「いや、待たせてしまった俺が悪いんでしょうし」
とシボルが言いかけると神竜が即座に否定する。
「違う! 我はそんな事でお主に殺気を向けたのではない! お主がミホを守れる胆力を持っているのかを確認する為に試したのだ!」
それだけではない気がするがシボルは素直に頷いて聞く。
「分かりました、それで俺は合格ですか神竜様?」
「ふむ、神ならぬ人の身でありながら我の殺気を三十秒も耐えたのは賞賛してやろうぞ。しかし何故お主はそこまで肝が座っておる? 命の危機を一度は迎えた事があるような胆力であるが……」
神竜に聞かれて言い難そうにシボルは答えた。
「あ〜、それはですね…… 若い頃に祖父に鍛えられましてですね……」
「ほう? 日ノ本にそんなイケメンがおったのか? 済まぬが少しお主の祖父の記憶を観させて貰うぞ!」
『爺さんはイケメンじゃ無かったですよ』と内心で思っていたら、神竜の目が光りシボルを見据えた。時間にして五秒ほどで神竜の目の光は収まった。
「クックックッ、クワーッハッハッハーッ!! 何とも凄い爺様だな! お主の祖父は! 本気でお主を斬り殺そうとしておったぞ!! それを全て躱したお主も中々のモノだ! しかしその時に祖父殿がもしも五年ほど若ければお主はここに立っておらなかったろうな!!」
『あー、やっぱりあん時の爺さんは本気と書いてマジだったかぁ! いや〜、良く生き延びたよなぁ俺……』
神竜の言葉にそんな回想をしていたら、神竜から更に情報が得られた。
「クッフッフッフッ、ついでにお主に教えておいてやろうぞ、祖父殿のその時の気持ちを。『クソッ! ワシがあと三年、いや五年若ければ斬って捨ててやったのにっ!!
「ウォーイ! 爺さん、本気で孫を斬り殺そうとすんなよっ!! そんなだから婆さんに愛想を尽かされたんだよっ!!」
思わず聞かされた情報に天国? に居るだろう祖父に向かって文句を言うシボル。
『クッフッフッフッ、その後に祖父殿が思っていた事は言わずにおくとしよう…… その方が面白いからなっ!!』
シボルの祖父は悔しがったその後に……
『フンッ、コレぐらい出来るようになったならば将来もしも守りたい者が出来たならば、怯えて逃げ出すような無様な真似はすまい。ワシが戦場で無様を晒したようにはなって欲しくは無いからな。これだけ胆力を持たせたならばワシの役目ももう終わりだな。後は婆さんに託そうか…… まあ、普段は婆さんから色々と教わっておるようだし、今さらか。フフフ、我が孫よ、逞しく生きるのだぞ』
こう思っていたのを神竜はシボルには黙っておくことにしたようだ。それはシボルが口では文句を言いながらも心から祖父に感謝をしている事を感じ取ったからでもある。
『しかしながらシボルよ、お主の祖父は人とは思えぬ
「フム、まあ良かろう。ミホの安全に常に気を配りかすり傷一つ負わす事のないようにな!」
その言葉にシボルは
「あの、例えばミホちゃんが料理をしてて、ちょっと失敗して指先を包丁を掠めたりしたとかもアウトですか?」
恐る恐るそう聞いてみた。
「アウトに決まっておろうがっ!!」
神竜の返答にまたもやナリアのハリセンが飛んだ。今度の音はドガッ! だった。
「兄さん、この阿呆のいう事に耳を傾ける必要は無いさね。全く何処まで甘いんだか…… 神竜様、そんなんじゃ人は成長しないさね。嬢ちゃんの成長も大事ならもう少し考える事さね」
「だが、ナリアよ! ミホにもしもの事があってからでは遅いのだぞ」
鋼のハリセンでどつかれたにも関わらず、平然とそう返す神竜。さすがは神と言うべきか。
「あの、ナリアさんは神竜様の巫女さんなんですよね? そんなに崇め奉るべき神様をシバいても大丈夫なんですか?」
シボルが先ほどから神罰が降るのではないかとナリアを心配してそう聞くと、二人からは意外な返事が返ってきた。
「うん? ナリアは確かに我が巫女であるが妻でもあるのでな。人も同じであろう? 間違いを正そうとする妻に逆らうというのは愚かな夫と呼ばれるのでは無かったか?」
「アタシは千と二百年前に神竜様から寵愛を頂いた身さね。勿論、子種も頂戴した仲さね。二人の子は今でも獣人たちを見事にまとめているさね」
「こっ、子種!? 『私もいつかシボルさんから子種を頂戴出来るかしら……』」
その二人の返事を聞いた時にミホの心の声を読んだ神竜はまたまた殺気を膨らませてシボルを睨みつけた。
「えっと、神竜様? 俺が何かしましたかね?」
「いいや、今はお主の能力を見ておるだけだ……」
殺気ダダ漏れで言われても説得力が無いなと思いながらもシボルは耐える。先ほど耐えた効果なのか、初めての時より耐えられる気がしている。
そして神竜がクワッ! と目を見開き叫んだ!!
「クソッ、何でお主は五十一にもなっておるのだ!! ええい! 年齢と外見を変える事は神とはいえ出来ぬが、体内細胞だけは若返らせてやる!! それとお主、何で位階上限が十しか無い!! 人ではあるが
神竜の言葉に理不尽だと思いつつも「スミマセン」と謝るシボル。その時に三度、ナリアのハリセンが飛んだ。
「馬鹿言ってないで早く兄さんに加護を与えるさね!!」
「クッ!? コレはミホを守る為に仕方なくだからなっ! 勘違いするで無いぞ、シボル!!」
そして神竜からシボルに光が飛んで吸い込まれた。更にミホにも光が飛ぶ。
「二人とも能力を確認するといいさね」
ナリアの言葉に二人が自分の能力を確認する。
名前∶シボル
性別∶男性
年齢∶五十一才 【肉体内部年齢二十才】
種族∶
加護∶神竜(体内細胞若返、位階上限突破、体力·魔力補正)
色手∶左【
位階∶二(上限無し)
体力∶380+250(加護補正)
魔力∶890+250(加護補正)
攻撃∶130+25(小剣装備補正)
防御∶70+30(革鎧装備補正)
名前∶ミホ
性別∶女性
年齢∶十九才 【病に罹らない】
種族∶
加護∶神竜(病絶対防御、安産、位階上限突破、体力·魔力補正)
色手∶左【
位階∶二(上限十)
体力∶470+500(加護補正)
魔力∶550+500(加護補正)
攻撃∶110+25(小剣装備補正)
防御∶60+30(革鎧装備補正)
【肉体内部年齢二十才補足】
外見、年齢は変わらないが肉体内部の細胞が二十才時点と同じになっている
【位階上限突破補足】
本来であれば人の位階は十までだが、神の御業により上限を取り払った
【病絶対防御補足】
ミホが病に罹患する事は今後一切無くなった
【安産補足】
痛みまでは消せないが、子を産む時間が二分以内となる
【体力·魔力補正補足】
シボルは位階が一つ上がる度に+50
ミホは位階が一つ上がる度に+100
『うん、上限突破ってヤバい能力な気がするなぁ…… それに細胞を若返らせて貰っても体力は変わらないんだな……』(シボル)
『安産!? キャーッ!! コレってそういう事よね? シボルさんとの間に子を成しなさいって神竜様が仰っているのよね? 神命ならちゃんと果たさないとダメだよね?』(ミホ)
何故か神竜から怒りのオーラが立ち昇りシボルを睨みつけている。それを感じながらもシボルは次のステップに進まないといけないなと考えていた。
「さてと、兄さんにお嬢ちゃん。本当なら昨日の話の続きから入るつもりだったんだけど、特別ゲストの所為で順番が変わってしまったさね。先ずは兄さんたちはハサン王国から追放されたらしいけど、そこで何か聞いたりはしていないかね?」
「いや、いきなり追放だったから重要な話は聞かされていない。けど、あの時王女さまとやらは邪悪なる竜を倒して欲しいとか言っていたような?」
「フンッ! 懲りずにまた攻めて来るつもりか、バカな人間どもだ! そもそも五百年前にアレだけ痛めつけてやったのにヤマトの温情により種の存続が出来たのが分かっておらんようだな!!」
シボルの言葉に神竜がそう言って怒り出した。
「その、五百年前に何があったのか教えて貰えますか? あの王女さまが言うには俺と同じ黒手を授かっていた者が魔王となって人に災いを成したから聖剣手の英雄がその魔王を倒したとか何とか言ってましたが?」
「そんなホラを吹いておるのか? それでは本当に何があったか教えてやろう。五百年前にお主らと同じように日ノ本から召喚された者たちがおった。ハサン王国、カルガ王国、ラーグン公国の三カ国はこの我が守護する場所を手に入れたいと欲して異世界から人を召喚する事にしたのだ。確かあの時はハサン王国で十五人、カルガ王国で八人、ラーグン公国で十八人も召喚したのであったか? それだけの人数を召喚する為に自分の子らを犠牲にしてまで召喚しおったのだ。当時はまだ色手も今のように不吉だとは言われておらなんだ。なのでヤマトたちの中にも二十人ほどは色手持ちがおったのだが、普通に召喚された国で訓練を受けておった。そして、先ずはその色手持ちたちが我が領土を攻めてきたのだが、我が前面に出て痛めつけてやったのだ。勿論だが殺したりはしておらぬぞ。その時に色手持ちを率いていたヤマトと話し合い、各国が召喚者たちを騙している事を知ったヤマトたちは、その場で我に頭を下げて投降したのだ。それを知った各国の王たちはヤマトを魔王と呼び、残りの職手持ちたちを討伐隊として送り込んできおったのだ。その時に我が出ても良かったのだがヤマトに止められてな。召喚された者同士だから必ず話し合えば分かる筈だからと言われ、我もヤマトに任せる事にしたのだ…… 今にして思えば何故あの時に無理やりでも我が出ておかなかったのかと悔やまれるがな。職手を持った残りの者たちは各国の王たちの甘言に乗るような碌でもない者たちばかりであったわっ!! ヤマトをだまし討ちして、色手持ちの十九人も殺そうとしておったのに我が気づいてそ奴らを追い返したのだ。何で殺さなかったのか? それは我は神である故に何かを破滅させる行為を行えぬからだ。しかし、あの時はナリアが止めねば我は堕天して本当にここが人どもが言う魔竜山になっておったやも知れぬ。それほど我は怒っておった。この神竜山を挟んで南では約半分の土地でエルフ、ドワーフ、ハーフリング、ゴブリン、オーク、オーガなどの各種族がそれぞれの領地で平和に暮らしておる。もう半分の土地ではわが子らが統率して獣人たちが暮らしておる。我はヤマトが守った十九人の色手持ちたちをそこに連れて行った。ちゃんと子孫を残した者も多いぞ。中にはここに召喚された時点で既に老境に差し掛かっていた者もいたのでな。全員がという訳ではないがな。しかしながらこのままではいかんと我は考えて、今後我の領地に手を出せばただでは済まぬと当時の王たちには警告を出したのだが…… どうやら五百年の間に伝承はねじ曲げられておったようだな。だが、人がどれほど強力な職手を持とうとも心配は要らぬがな。神である我を傷つけることなど出来はしないのだから。そうそう、ヤマトは黒手を右手に白手を左手に持っておったのだ。それ以来、両手に色手を持つ者は現れておらぬ。お主らが五百年ぶりだという事だ」
長い話を聞いて五百年前に起こった事の真実を知ったシボルはもう一つ聞いてみた。
「あの、ここ数年でも誰か色手を持った人が現れませんでしたか?」
「ああ、居たさね。ハサン王国に召喚されたと言ってたね。兄さんと同じ黒髪黒目だったけど、名前は何だか日ノ本の名前じゃ無かった気がするさね」
「なんて名乗ったんですか?」
「クラウドって名乗ったさね。どうせ異世界に召喚されたならこの名で生きていくとか言ってたよ。その兄さんも白手だったよ」
『うん、恐らくFFファンだな……』
「分かりました、有難うございます」
「それで、シボルにミホよ。お主らは今後どうするつもりだ? 何か考えているのか?」
神竜にそう問われてシボルは答えた。
「俺自身は自給自足の生活をしたいと思っています。なので、恥を承知で神竜様にお願いが有ります。神竜様の領地に山にも海にも近く、耕せる土地があって、近くに川もあるっていうとても好条件な場所って無いですか? あればそこに住まわせて貰いたいのですが。あ、それは俺の願望なのでミホちゃんはまた違うかと思いますので、彼女の願望はこのあと聞いて上げて下さい」
そう言ったシボルの言葉に被せ気味にミホは言った。
「あの! 私もシボルさんと同じように自給自足の生活をしたいです! なので私からもお願いします神竜様。そんな土地がもしも有るなら私とシボルさんがそこに住む許可を頂けないでしょうか?」
そこで何故か神竜から怒りのオーラがシボルに向かって噴き出すのだが、ナリアのハリセンによってまた止められた。
「神竜様、あの土地があるさね」
「なっ!? しかしあそこはヤマトの!?」
「いいさね、ヤマトも寂しがってるさね。同郷の者が住んでくれるならってきっと喜ぶさね」
「ムウッ、ナリアがそう言うのであれば……」
「シボルよ、お主の言った条件に合う土地はある。そして既にそこにはお主らが住めるだろう家屋もある。だが、ここで我から一つ条件を言い渡す!!」
「はい、何でしょう神竜様」
「家は一軒しか無い故に、そこにはミホを住ませ、お主はその家の外でテント暮らしを、【ドゴッ!!】」
「まーた、馬鹿を言ってるさね。気にしなくていいさね。家はそれなりの大きさで部屋も八部屋あるさね。一緒に暮らせば良いからね。これはアタシからのお願いさね。家の裏手にヤマトの墓があるさね。その世話をお願いしたいさね。頼めるかい?」
「「はい! ナリアさん」」
シボルもミホも直ぐに了承した。
「それと、自給自足をするにしても栽培するものを手に入れる必要があるさね。先ずはアタシと一緒に南に暮らしてる各種族の町に行くさね。そこで必要な物を手に入れようさね。それがそこで暮らす条件さね」
「でも俺たちは金を持ってないよナリアさん」
「兄さんもお嬢ちゃんもここに召喚された時の服はまだ持ってるんだろ? それを売れば金になるさね。日ノ本の服は高く売れるさね」
「あの、シボルさん。私、他の種族の方ともお話をしてみたいです」
ナリアから言われ、衛兵のナチが言ってたのを思い出したシボル。それにミホから言われるまでもなく、シボルも他の種族の者とは交流したいと思っていた。
「ムッ、ナリアがついて行くなら我も行くぞ!!」
「神竜様はダメさね! あちこちで騒動になるさね!」
「いや、それはちゃんと神気を隠して行くから、なっ、頼む! ナリア、このとおりだ! それに息子たちにも三百年ぶりに会いたいし、孫にも、ひ孫にも、玄孫にも会いたいし!!」
『あ〜、そりゃ居ますよね、何なら玄孫以上のお孫さんも多いんでしょうね……』
なんてシボルは内心で思っていた。
神竜のワガママにナリアは
「はあ〜…… 今から言う事は守って下さいよ神竜様。人前では必ずフードを被って脱がないこと。神気は絶対に漏らさない事。何かしら厄介事がアタシらに降りかかっても神竜様は絶対に手出ししない事。これを守れるならついて来ても良いさね。守れるかい?」
ついて来る為の条件を述べた。
「おう! 何だ、そんな簡単な事ならばちゃんと守れるぞ!! 我に任せておけ! ナリア!」
絶対の自信をのぞかせて言う神竜を見て、ナリアもシボルもミホまでもがこう思った。
『絶対に守れそうにないさね……』
『神竜様、それを日本ではフラグを立てると言います』
『何故か分からないけれど不安だわ』
しかしながら神竜が守ると断言するのでやっぱりダメだとも言えずに、四人いや、一柱と三人は先ずはエルフの町に向かう事になったのだった。
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