2024.12.25. 06:40

「わーい! サンタさんのプレゼントだぁ!」

「ねえねえ、何入ってた!?」

「えっとね、僕はゲームのソフト!」

「あたしはメイクコスメよ!」

「ぼく、くるま!」

「私はお人形さん!」


 子どもたちの楽しそうな声で目が覚めた。

 重い体をムクリと起き上げカーテンを開けると、外は一面、白銀の景色となっていた。

 普段は雪が積もらない地域なもので、雪が積もると子どもたちが飛び上がって喜ぶのだが、今日限りはクリスマスなのでプレゼントに気が散っているらしい。


「おかーさーん! サンタさん来たあー!」


 ドタドタと、子どもたちが寝室に走って入ってきた。


「みてみて! このお人形さん、かわいいよ!」

「僕のゲーム、最新版なんだぜ!」

「くるま! くるま! ぶーん!」


 子どもたちはそれぞれが貰ったプレゼントを抱えて、自慢しに来ていたようだ。


「はいはい、良かったね。これからもいい子にするんだよ」

「「「「はーーい!」」」」


 子どもたちが一斉に返事をする。

 私は真里まり。5児の母親だ。

 2年前に他界した夫の分も働き、子どもたちを支えている。

 

「あれ? ねえねえ、せいやお兄ちゃんは?」


 末っ子がそう聞き、私も初めて長男がいないことに気がついた。

 長男の政哉せいやは面倒見が良く、いつも子どもたちを見てもらっていた。

 そんな政哉が、子どもたちと一緒にいない。


「もしかして、まだ寝てるんじゃない?」

「……部屋にはもう、誰もいなかったよ」


 私が予想を立てるも、次女に打ち砕かれてしまった。

 しかし、子供部屋にも、この場にもいないとなれば、一体どこに?

 私は急いで起き上がり、子どもたちに政哉を探すよう促した。


「せいやーーっ!」

「おにーちゃーん!」


 しかし、いくら叫んでも、いくら探しても見つからない。

 時刻は7時を回り、子どもたちも今日は学校があるため、そろそろ準備を始めなければならない。


「おかーさん、お兄ちゃんは……?」

「大丈夫、探しておくから。今は急いで学校の準備をしましょう」

「うん……」


 子どもたちが大好きな長男が消えてしまい、子どもたちはかなり悲しんでいた。

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