みどりが丘の黄昏の姫 ~すみれ姫とブラックナイト~

榊原 梦子

前章

みどりが丘の黄昏の姫 ~すみれ姫とブラックナイト~


《前章》


 イブハール歴2035年、メルバーンの国。とある田舎町の片隅に暮らす二人の師弟のうち、師匠の方が、荷物を担ぎ、家を後にしようとしている。

「行ってきますよ、ハザリー」と、お師匠様・フラウがにっこり笑って言った。

「お師匠様、あれほど行かないでと言いましたのに、行かれるんですか??」と、ハザリーがあきれたように言う。

「それもブラックナイトの役目ですから。この剣・・・を神々から譲り受けたからには」と、フラウ。

「お気をつけて」と、ハザリーがフラウと抱擁したのち、別れを告げた。

「必ず帰ってきます。それまで、その家でまっているのですよ」と、フラウが注意事項を言った。

「私に万が一のことがあれば、あそこへ行きなさい、ハザリー。そして、君が2代目を探すのです。君ならできる。いいね?」

 そう言って、師匠であるフラウは、二度と帰ってこない旅へ出て行った。黒マントを翻して。


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みどりが丘の黄昏の姫 ~すみれ姫とブラックナイト~ 榊原 梦子 @fdsjka687

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