2名用台本

@nal_n_l

『秋のような、冬のような』(姉弟版)

男1: 女1/時間目安10分



【題名】

秋のような、冬のような


※こちらは姉弟版です。



【 登場人物 】



(以下をコピーしてお使い下さい)


『秋のような、冬のような』(姉弟版)

作者:なる

https://kakuyomu.jp/works/16818093090840098308/episodes/16818093090840203139

姉:

弟:




-------- ✽ --------






001 姉:うわぁ、外も寒くなったなぁ。もう少しなにか羽織って来ればよかった……それにしても、ここからの景色はいつ来ても変わらないなぁ。


002 弟:(小声)うわぁ、さむっ。……ふふ、こんなところでなにしてるの?


003 姉:え?……あぁ。ふふ、寝てると思ってた。ちょっと寝れなくてね、少し風に当たろうと思って。


004 弟:そんな事だろうと思った。……ほら、そんな薄着じゃ寒いでしょ?この毛布使って?


005 姉:用意がいいなぁ、あはは。私は大丈夫だから、使って。


006 弟:まあ俺だからね!俺は大丈夫だから、ほーら、はい。


007 姉:はぁ……さっき、寒いって言ったの聞こえた。ほら、毛布使って。風邪ひくよ?


008 弟:あ!そうだ!じゃあ、この毛布は姉さんが使って。で、俺をその毛布の中に入れて?


009 姉:え?……こ、こう?


010 弟:そう!これなら俺も姉さんもお互いの体温で暖かいでしょ?


011 姉:ん?……まぁ確かに……それにしても近い……。


012 弟:えー?いいじゃん!暖かいんだし、姉弟ならこのくらい普通でしょ?


013 姉:あんたの言う普通は普通じゃないよ?


014 弟:俺にとっては普通だからいいんですー。……それにしても、ここからの景色は相変わらず綺麗だなぁ……。


015 姉:ふふふ。


016 弟:何笑ってるの?


017 姉:私と同じ事言ってるなぁって。


018 弟:この時間のここからの景色は、俺と姉さんしか知らない秘密、だからね。久しぶりに来たし同じ事言っても仕方ないじゃん。むー。


019 姉:はいはい、ムスッとしない。ねぇ、あそこのさ、お菓子屋さん。覚えてる?


020 弟:うん、姉さんの大好きなクッキー売ってるお店でしょ?


021 姉:そうそう、あそこね、この前行ったんだけど……。


022 弟:え!?俺を置いて行ったの?!酷くない!?ねぇ!


023 姉:はいはい、怒らない怒らない。今度連れてってあげるから。


024 弟:絶対だからね!


025 姉:はいはい。でね、あそこのお店の奥さん引退してて、今息子さんに変わってたよ


026 弟:え、息子さんってあの赤ちゃんだった?


027 姉:そうそう、いやぁ、かっこよくなってたよ。


028 弟:ふーん、そう。


029 姉:なに不貞腐れてるの?


030 弟:別に〜?(小声)ニヤニヤしちゃって。


031 姉:そう?……あぁ、そうだ。あとね、あそこの夜景が綺麗な教会。


032 弟:前に父様と母様に内緒で行ったところ?


033 姉:そうそう、そのあとバレてこっぴどく怒られたあの場所。


034 弟:ふふ、懐かしいね。


035 姉:だね……あそこのピンクの花の木、無くなっちゃったんだよ。


036 弟:え?……そうなの?好きだったのに……。


037 姉:残念よね……毎年あそこの下でピクニックしてたもんね。楽しかったなぁ。


038 弟:あれは楽しかった!……それにしても、姉さんは俺の知らないこの街の、その後をたくさん知ってるんだね。


039 姉:……どうかした?


040 弟:ふふ、何もないよ。


041 姉:さっきから様子が変だけど……。


042 弟:そんな事ないよ!ねぇ、姉さん。この星空はあの時からずっと……ずっと変わらないよね?


043 姉:え?う、うん。星空は、いつみても変わらず綺麗だよ


044 弟:ふふ、そうだね。……他には?他に変わったところはないの?


045 姉:いや……えーっと……あ、そうだ。あんた、そろそろ学校始まるんでしょ?この休み明けからだったっけ?


046 弟:え?……あっ、うん。


047 姉:あそこも改築工事が始まって綺麗になってたよ。しっかし……変な時期から始まるよね。


048 弟:そう……だね。


049 姉:ん?どうした?


050 弟:いや、なんでもないよ。今度通う学校は寮になるし、ルームメイトとか楽しみなことは色々あるなって。


051 姉:そっか、忘れてたけどあんたも寮にはいるんだったね。


052 弟:そうだよー?だからこうやって寂しーくテラスで黄昏てる姉さんを構ってあげられなくなっちゃう……寂しい?


053 姉:別に……いつも、あんたが勝手に来るだけでしょー?


054 弟:またそういうこと言うんだから。……姉さんのバカ。


055 姉:んー?


056 弟:ちょ、ちょっと。そんな抱きしめてきてどうしたの?寒い?


057 姉:んー……うん。寒い。心も体も寒くて仕方がない。


058 弟:寒いならそろそろ部屋に戻った方がいいんじゃ……?


059 姉:んー、まだ。もう少しこの景色を見ていたい。


060 弟:姉さんがいうなら付き合うけど……あ!みて!あれ、木に電気が灯ってる!……なんかイルミネーションみたいだね。


061 姉:でもまだ葉も落ちきってないし……秋なのか冬なのかよく分からないね。


062 弟:寒いけど……街はまだなんとなく黄色?赤?んー、オレンジ?だったりするから、まだ秋!


063 姉:ふふ、何その自論。


064 弟:いいじゃん!……冬が来るのはもう少し後で。


065 姉:そうね……このままずっと冬が来なければいいのに。


066 弟:クリスマス来なくなっちゃうから、ずっと来ないのは嫌かな。


067 姉:確かに、あんたクリスマス大好きだもんね。……今年のプレゼントは何が欲しい?


068 弟:んー……今思いつかないから、また思いついたらでもいい?


069 姉:うん、思いついたらいつもみたいにこっそり教えてね。


070 弟:ふふ、わかった。


071 姉:……ねぇ。


072 弟:ん?なに?


073 姉:これからも……この景色はふたりの秘密、だからね。




(終)


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