第5話 35.6978368, 139.4137252 立川

東京都立川市曙町2丁目 、立川駅。


「立川って『とある魔術の禁書目録』『とある科学の超電磁砲』の学園都市のモチーフだったんですね。聖地巡礼を見込んで【とある自治体の地域振興(プロモーション)】が立ち上がっているそうですよ」


「主人公の右腕が切られると竜王のナンチャラの力がどうこうゆうやっちゃろ? そこから異世界や竜王にたどり着けるかもわからへんてか?」


「……」


「チカさんどうしたんですか? 難しい顔で考え込んでしまって」


「おーい、大丈夫かチカ?」


「アタシたち、ちょっと勘違いしてたかも。ここは多分最終目的地じゃないと思う」


「どういうことですか?」


「今までサブロウ先生が残したり送ってきた座標にたどり着くために、鉄道を使ってきたんだけどおかしいと思わない?」


「なんやねん?」


「最初の目的地は伊勢だったけど座標は伊勢神宮ではなく伊勢市駅だった」


「そうですね」


「次の目的地の名古屋も名古屋城ではなくナゴヤドームでもなく名古屋駅で、その次の横浜も港でも中華街でもなく新横浜駅だった。座標が示す場所は全部が全部駅なのよ!」


「そうですけど」


「せやけど、なにがいいたいねん?」


「今回のサブロウ先生の『いせかい旅行で竜王を見に行く』って話なんだけど逃亡劇の最終目的地もきっと座標にしたらやっぱりその駅そのものだと思うの。きっとネタバレしたらなるほどと納得できるような」


 ちょうどそのとき、グループラインにメッセージが送られてきた。


『みんなはもう立川駅まできていることだろう。おつかれさま残念ながらそこは最終目的地ではない。だが、安心したまえ。最終目的地まであとわずかだ。さあ、コレが最後だ。座標のヒントはなしだ。オレはお前たちに賭ける!


   ざわざわ ざわざわ ざわざわ


追伸 オレはけしてみんなと一緒に横浜中華街でご馳走を食べられなかったことをひがんでいない』



「うわあ、うつわちっさ。中華街の仕返しで、最後の最後でノーヒントかいな!」


「え? 座標なしですか! せっかくサブロウ先生にシウマイ買ってきたのに」


「チカ、どこか心当たりあるか?」


「絶対に鉄道の駅そのものだと思うんだけど、まだどこかまでは」


「さよか、弱ったな」


「本当ですね。ところでこの、ざわざわ、ざわざわざわざわってなんですか?」


「ああ、ヨシノさんはわからへんかもなぁ。それは超有名なギャンブルマンガの効果音というかーー」


「わかった! 答えは最初から出てたのよ! いまのヒントで確信できたよ!」


「「ええ? どうゆうこと?」」



* ここまできたら読者のみなさまも最終目的地はわかったと思います。そしてサブロウがなにを企んだのかも、ひょっとしたらおわかりかと。次回最終回は答え合わせ編です。




つづく

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