第2話 34.49115861,136.70950595 伊勢市

 三重県伊勢市吹上一丁目、伊勢市駅。


 ヨシノとチカとカズマはサブロウが残したメモの数字が示す座標に来ていた。


「旅行先って伊勢だったのですねえ」


「伊勢から始まる異世界旅行?」


「ホンマに、オチが『ここが!』ちゅうダジャレのツッコミ待ちやとは思わへんかったわ!」


「ここで待ち合わせてみんなでパワースポットの伊勢神宮に行くのでしょうか?」


「いや、サブロウ先生のことやさかい、そんなありきたりやないやろ。もうちょっと先の志摩スペイン村で『ドンキホーテ冒険の旅』で風車をドラゴンに見立てとるとか」


「小説の『ドンキホーテ』は風車をドラゴンじゃなくて巨人だと思ってたはずよ」


「あれ? そうやったっけ?」


「それに、そうだったら最初から志摩でよくないですか?」


「それもそうやなあ」


トゥルルルルルルルルルルルルル


 ヨシノのスマホが鳴った。サブロウからだ。スピーカーで皆で聞く。


「ヨシノ、オレだ。今どこだ?」


「伊勢市駅です。サブロウ先生は今どこなんですか?」


「そうか。あの座標がわかったんだな。チカやカズマも一緒か?」


「そうですけど、ねえ、どこにいるんですか!」


「今は言えない。コレから座標を送るから、そこまで来てくれ!」


「なんやねん! それ!」


「ちょっと師匠!」


「サブロウ先生!」


「悪いけど切るぞ。じゃあな」


 しゃべるだけしゃべって、サブロウは一方的に通話を終了してしまった。


 その後4人のグループラインに座標が送られてきたのであった。




35.1706431, 136.8816945




 3人が座標を入力して検索する。


「なんで伊勢神宮にも行かないでここなんでしょう?」


「逆戻りやないけ!」


「追っかけろというなら地の果てまで追い詰めるわよ!」


「「おおー!」」



つづく

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