W5 クリスマスディメンション

なんとか山道を登り切り、山の上の魔王の城へ辿り着いた2人。


城は青いステンドグラスと黒いレンガで構成された、まぁまぁオシャレな外見であった。


「とりあえず入ってみようか」



城内はエアコンなど一切無く、吹き抜けとなっていて、とても寒かった。

だがそれが、まぁまぁ悍ましい。要するに怖い。


「どこに魔王が隠れているか、わからんからな。油断するな⁉︎」


「もちろん」



モコローが赤いカーペットを踏んだ瞬間、城の壁や床が消えた。


「え⁉︎」「ファ⁉︎」



落ちていく2人。周りの景色は城ではなく、どこまでも続く夜空であった。


ズドォォォン



落ちた場所は大きなプレゼントの箱と思われる物体の上。


「何ここ…」


「こんな異空間が、こんな城の中にあったとはな…ヤバい事になったかもしれない」





「侵入者を発見!!」



向こうの方にいる一本足の目覚まし時計が叫んだ。

ナイトキャップとスコープをつけたモンスターが反応し、2人を遠くから狙撃する。


ズキュン


銃弾がクリスの足元に命中し、2人をビビらせた。


「なんだこりゃ。どっかから狙われてるのか⁉︎」


「あれじゃね?」


モコローが遠くの方にいる狙撃手を見つけると、指鉄砲を撃った。


バンッッッ


彼の目にスコープが現れ、口に銃口が生えてくる。


「何その姿…(だっさ…)」

↑クリス


↓モコロー

「目標を捉えた」


ズバァァァァァァァァァァァァン



2人を狙っていた狙撃手が逃げるが、無慈悲にモコローは撃った。


さらに迫り来る一本足の目覚まし時計に対しては、口についた銃口を振り回して倒す。


「えぇ、そんな変な見た目で強いな…」


「まぁね」


クリスは賞賛した。しかし一瞬で黙り込んでしまった。

モコローが疑問に思う。


「ん、どうかしたか(イケボ)」


「う、後ろ…避けろ!」


モコローの背後にいたのは、トナカイの頭をしたソリ。


ソリが角で彼を突き刺す!


「ゔっ、目、目がぁぁ!」


目をブッ刺されたモコローは叫びながら、指鉄砲を撃ち込むが…素早く動くソリには当たらない。



クリスが応戦しようと氷を生成したが、それが何者かに防がれた。


「なんだ⁉︎誰だ⁉︎」



「……私だ(低音イケボ)」


「だから誰だよ!!」


「私…ボックスター様さ」


靴を履いた箱がクリスの背後にいる。

キュートな見た目だが、声は低音イケボと属性が渋滞しているモンスターだ。


「君か、魔王はこの城のどこにいるか教えてくr」


「教えない(低音イケボ)」


「いちいち低音イケボってやかましいから、やめてくれ」


「わかった」


「やめてくれるんだ…」


ボックスターは自身の体の中から鉄球を発射し、クリスの顔面にぶつける。


「いてええええええ、よくもやってくれたな君!!」


「避けろ。目視で認識できる攻撃を放ったつもりだが?」


「そういう事じゃないんだよ。痛いのは痛いんだよ」


次々と彼はクリスに向けて鉄球を発射した。

クリスは鉄球を凍らせては手で割って、破片を飛ばす。



「結構しぶといな。だが我々には最終兵器がある。

来い、最終兵器たちよ」


「そういう呼び方なんだ」

↑元に戻ったモコロー



ドシンドシンドシンドシン



ボックスターの前に、巨大なハンバーガーとステーキが現れた。


「「え???」」


「このバーガーとステーキこそが我々の最終兵器…。

激辛バーガーと肉だ!!」


「「肉⁉︎⁉︎⁉︎」」


激辛バーガーには目がついていて、具の中には舌や歯が生えている。まだモンスターだとわかる。


しかし肉には目も口も鼻も一切ついてないのに、ウネウネと動いていた。気持ち悪すぎる。


「さぁ、この愚かな侵入者たちを倒せ…最終兵器たちよ。

早く!…なぜ動かない。早く倒せよ!おい、私の話が聞けないのか⁉︎」


ボックスターが怒鳴り散らかすが、激辛バーガーと肉は彼をジーっと見ていた。


「は?ふざけんな…」


「「(あ、これ絶対食べられちゃうフラグだ)」」


モコローとクリスの思った通り、ボックスターとソリは最終兵器たちに食われてしまった。


「「やっぱり…」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る