W6 ファイナルフロア

激辛バーガー と 肉 が しょうぶを しかけてきた!



モコローは指鉄砲をハンバーガーへ向けるが、肉に阻止される。


どうやら肉を撃っても何の能力を得られないらしい。


「えぇそんな⁉︎」


「まずい、ここは俺が!」


クリスが掌から冷気を広範囲に噴出し、肉を冷凍させる。

だがバーガーの周りを漂う熱によって、一瞬で解凍された。


「(すげぇコンビだな…今日会ったばっかのモコローと俺じゃ、こんなコンビネーションは発揮できない!)」

↑クリス


↓モコロー

「僕らもコンビネーションを披露するしかないね、クリス!」


「うせやろ…⁉︎」

「え、無理かな?」


「いや、無理とまでは行かないけど…無理なんじゃないか?」


「そうかもね」

「納得しちゃうのかよ」


ボォォォォォォォッ


ハンバーガーが辺り一面を炎で焼き尽くし、その隙にクリスに向かって噛みつく。


「うわっ、危ねぇ!…あヤベ」


彼の真上には、肉が舞っていた。奴はクリスを大きな体で潰すつもりらしい。


「…!」


クリスは素早く氷の板を生成して、肉の動きを止める。

だがハンバーガーは咆哮を上げて氷を溶かす。


「まずい…」


バキューーーーン


クリスを指鉄砲で撃ち抜くモコロー。

頭の上に氷塊が生えてきて、体色が水色に変化した。


「(俺を撃ったのか⁉︎)」


ビバッッッ


ハンバーガーの口元に大量の氷柱がぶち込まれた。

奴は噛み砕こうと力を入れる。その隙にクリスがハンバーガーの目に氷の弾を発射した。


「ギャァァァァァァァァァ…グルルルルルルルルッッッ」


暴れる奴を尻目に、モコローはクリスが支えている肉に向けて、凍った手でパンチする。


「ギョエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッッ…」

↑肉


↓モコロー&クリス

「さすがに気持ち悪い」


ハンバーガーは氷柱を噛み砕き、空中のモコロー目掛けて飛んできた!!

そして大きな口を開ける。捕食するつもりだ。


「(⁉︎…そうだ)」



クリスが氷の板を上へ飛ばし、肉を吹き飛ばす。

その肉がハンバーガーの下顎をビンタした。


バチィィィィィィンと痛々しい音が響き渡る。


ハンバーガーと肉は爆散し、遥か上空で皆んなの笑顔のような花火となり、消えていった。

モコローが元の姿に戻る。


「最後まで意味不明すぎたな…あいつら」


「最後も意味不明だと思う…」

「確かに」












「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


「「な、なんだ⁉︎」」


突如聞こえてきた謎の声…!


その声の主とは…!






「我こそが魔王様だ。貴様らを待っていたぞ…」


黒いマントに黒く長い髪とヒゲを揺らす黒い影。

この者こそが、魔王である。


↓モコロー

「ま、ま、ま、魔王⁉︎」


「その通り、よくぞ私の城まで来た。その忍耐力だけは褒めてやるわ」


「なんでこんな所にいるの…?」


「そりゃ俺の城だからに決まってるだろ!」


「黒い髪すごい綺麗だね」


「ありがとう。我輩の唯一の取り柄だからな」


「この魔王すげぇ謙虚だな。あとこの魔王すげぇ一人称変わるな」

↑クリス


「すまん、今は一人称を変える時期だからな。同じ異世界へ行っても同一人物だと思われないようにね」


「さすがに無理あるだろ…」




「さぁ、私が相手だ。気温を取り戻してみろ…この俺から!」


魔王が2人に挑発する。長髪だけに…。


寒い!!



「モコロー、行くぞ!」

「もちろん!」


「我の力を前に平伏すが良い!」


魔王の大きな掌から巨大なヤシの木が生えてきた!

木が床ごとモコローたちを抉り取る。


ズボガガァァァァ…



「我輩は、この夏を操る魔法でこの島の気温を上げたのだ。どうだ…!」


ヤシの木に挟まれて動けないクリスとモコロー。

魔王は高笑いした。


「どうだ…もう終わりか?」


彼の口から熱波が放出され、木と一緒に2人を燃やす。


ボォォォォォォォ…


「あ…あぇ…」


バタン


黒焦げの状態で倒れる2人。魔王がトドメを刺そうとしたが、直後に2人の姿が消えた。


「は⁉︎なんだ…?何が起きたんだ?」



彼は上を向く。なんとサンタクロースがソリに乗ってモコローとクリスを掴んでいたではないか。


「さ、サンタクロース様…⁉︎」

↑クリス


↓モコロー

「えぇ本物⁉︎」


「あぁ本物じゃ。ワシが来たからには、もう安心して良いぞ」

↑サンタクロース


困惑する魔王


「いやお前、何やってんだ!まだじゃないぞ!」


「さぁなんの事やら」


サンタクロースは惚けた。


「ハァ⁉︎気温上げたのは、我とお前の計画だろ!!

クリスに最高の誕生日を楽しんでもらうために、この城まで誘導して彼に俺を倒させ、その後プレゼントを渡すっていう計画!」


「え、サンタ様?」


クリスがサンタクロースの方を向くが、彼は首を振る。


「ワシは知らん。この魔王は異世界で勇者に倒され泣きながら帰ってきた事がショックすぎて、存在しないはずの記憶を語っているだけじゃ…」


「どういう事…?」


「あの魔王は、どうやらこの島の気温を上げたのはワシのせいだと言いたいようじゃ。

哀れな魔王じゃ…今、楽にしてやるぞ」


「ハァァァァァァァァァ⁉︎何言ってんだオメー!

あぁちょっ、あの、その、や、やめてくれ、おい、待て、おいやめろ、や、やめろオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…!」



サンタクロースから放たれる光が魔王を包み込み、一瞬で消した。








◇◇◇




元の気温に戻った北の島ウィンターアイランド


街では雪祭りが開かれ、クリスは楽しい休日を過ごしていた。


モコローはアイスキャンディーを食べていた。


「おぉ寒い!!」


「なんでこんな寒いのにアイスとか食えるんだよ…」


「まぁこれがプロだよ」

「誰も求めてないぞ…」



「そういや、あの骨付き肉ってどうしたんだろうね」


「そういや俺らのデマ流されてるんだった…」

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