W4 マックーラ洞窟
ホテルのレストランを出て、いよいよ魔王の住む城がある山の麓までやって来た。
麓の林の奥に、真っ暗な洞窟があるのが見える。
「あの洞窟を抜けた先に城へ続く山道がある。
かなり危険だと思うが、行けるか?モコロー」
「もちろん。ここまで来たからね!先に洞窟内の様子を見てくるよ!」
モコローが洞窟の中へ恐る恐る入った。
中はヒンヤリしていて、氷柱などが上の方に光るのが見えた。
「(めちゃくちゃ寒いな。さすがにアイスキャンディーは食べられないかも…)」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ズドォォォォォォォォォン
上から何か大きなものが降ってきた。
「え?」
「おいモコロー大丈夫か⁉︎」
クリスが駆けつける。
上から降ってきたのは、なんと巨大なダンボという
怒鳴るダンボ。
「ここから先は立ち入り禁止だ!絶対に通さないぞ!」
「マジかよ。俺ら魔王に用があって城へ行きたいんだが」
「ダメだ。今ここはクリスマスなのにも関わらず仕事で大忙しなんだよ。そんな中、テメェらみたいな暇人が通ると反吐が出る、虫唾が走る!」
「そこを頼むよ。すぐ抜けるからさ」
「ダメだ。それにそこのテメェ、この島の気温を上げたらしいな?覚悟しろよ」
ダンボがモコローを指差す。
「え、僕⁉︎」
「あぁそうだ。この街のインフルエンサーが言っていた!
テメェが来たせいで、この島の気温が上がったらしいな」
「あの肉インフルエンサーだったんかよ!」
↑クリス
「テメェは島にとっての害悪だ。ここで○んでもらう。
敵に名乗る名前は無い、俺はキカンボという者だ!」
「なら僕の名前にも名乗れるものなんて無いよ!モコローね、よろしく!」
キカンボは大きな頭から煙突のようなものを出すと、黒い煙を噴出した。
ここは洞窟内。すぐに煙で充満してしまう。
「有毒ガスだ!下がれモコロー逃げるぞ!」
クリスが洞窟から飛び出したが、モコローは逃げずに指で銃を象る。その指鉄砲をキカンボに向けて発射した。
「バキューン」
「「テメェふざけてんのか」」
するとモコローの頭から煙突が生えてきて、体色もオレンジから黒に変わった。
「姿が変わった⁉︎君の能力はそれか!」
モコローの能力は指で象った鉄砲で撃った相手の能力をコピーできるのだ。
そのコピーの内容によって、性格が変わってしまう。
↓モコロー
「
まるで鉱夫のような姿になって、口調も目つきも変わったモコローがキカンボに怪しく言う。
キカンボも怯まずに叫ぶ。
「舐めるなよ、若造」
彼は頭の煙突から石炭を弾丸のように発射した。
この無数の石炭の弾幕をモコローは、手にしたツルハシで全て弾き飛ばす。
凄まじいツルハシ捌きだ。ツルハシに石炭が触れた途端、一瞬で木っ端微塵になっていく。
「クソぉッ」
大きくジャンプしたキカンボ。モコローは後ろへ移動して彼の体当たりを回避する。
キカンボが着地した途端、モコローのヘルメットについたライトから凄まじい光が放たれた。
ブワハッッッッ
「ゔっ、眩しい!クソぉぉ、バカにしやがってぇぇ!!」
目潰しを受けたキカンボを尻目に、モコローがクリスに言う。
「早く来い、クリス!」
「ん、えぇあ、わかった!」
外の雪で絵を描いていたクリスは慌ててモコローと共に洞窟の奥へ走る。
すると上から大きめの石炭が降ってきた。
「「なんだ⁉︎」」
「よぉ君がモコローという者か?ここから先は行かせねぇぜ」
目と手足のついた石炭だ。
↓キカンボ
「スミラー!ここは合体した方が良い!」
「わかってるよん」
↑スミラー
スミラーと呼ばれた石炭はモコローの足を引っ掛けて転ばせると、キカンボの煙突の中へ入った。
クリスが氷の結晶を放つ。
「合体?させるか!」
ズバァァァァァン
結晶はスミラーに当たらなかった…。
「なんでだよ、そこは当てろよ俺!」
↑クリス
↓キカンボ
「おぉ力が湧いてくるのが、ひしひしと感じる!もう35徹は余裕だろ…!」
「おいやんのかぁ?かかってこいよ」
↑モコロー
彼はキカンボに向けてツルハシをブーメランのように投げる。
煙を出してツルハシを吹き飛ばすキカンボ。彼の口から激しく燃え上がる炎が放たれた。
「⁉︎…」
クリスが炎を凍らせる。その直後にモコローが大きくジャンプし、掌からトロッコを生み出した。
「トロッコ…⁉︎」
ギギギギギギギギッッ
トロッコはキカンボの顔の上を走って、彼の顔に傷をつけさせる。
「ゔゔゔゔっ⁉︎なんだ!クソォいい加減にしろよぉ…」
「「よし、逃げよう!!」」
元の状態に戻ったモコローとクリスは、キカンボに背を向けて洞窟の出口に走っていった。
「ハ⁉︎敵前逃亡とかあるのか⁉︎おいマジでふざけんな」
なんとか山道に出た2人。後ろからキカンボがシュッシュッポッポッと猛スピードで迫って来る。
「まずい早く逃げないと!」
「いや待て、ここで待つんだ」
クリスは山道の急カーブで停止する。キカンボは停止できずに、そのまま崖の下へ落ちていった。
「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…………⁉︎」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
ズドカァァァァァァァァァァァァァァン
「ふぅ、なんとか洞窟を抜けられたな。さぁすぐそこが魔王の城だ。行くぞ」
「そうだね」
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