第4話 雪崩に気を付けないと
「ふぅ、どうだった?」
「怖かったけど、楽しかったです」
「そう? 雪山が嫌いにならなくてよかった」
ゴーグルを外し、顔を露わにするセッカ。
サクラはセッカに助けられ、無事に一滑りを終えた。
その後を続きヒマワリとツキカ。ポプラの三人も降りて来る。
サクラの無事、セッカの合流に安堵すると、兎にも角にも幸いだった。
「ったく、勝手に滑ってんなよ!」
「ごめん。雪山のコンディションを確認してた」
「それは大事なことですけど、私達を迎えには来て欲しかったですね」
「ごめん」
セッカはサクラ達のことを考えて、一人雪山を滑っていた。
コンディションを確認し、雪山の状態が悪くないことを伝えた。
「でもよかった。雪崩に巻き込まれなくて」
「雪崩!?」
「そう。ここの雪山はよく雪崩を起こす。巻き込まれることもあるから、気を付けないと」
雪崩まで起きるなんて聞いてない。
流石は天然の雪山。恐ろしいとサクラは思う。
「でも、雪崩が起こる時はスキーができない。今日は安心してもいい」
「今日はってことは、明日は?」
「分からないない。それはこの山が決めること」
心身共に冷え切ってしまう中、セッカは気にせずに口にした。
クルリと振り返ると、雪山を見つめている。
「それより、もう一滑りしよう」
「えっ、でも……」
「大丈夫。今日は雪崩は起きない。それに滑り方は私が教えるから」
セッカが付いてくれるなら安心だ。
サクラは迷いながらもセッカに委ねる。
「それじゃあお願いします」
「うん。それじゃあ早速」
「あの、セッカ。さっき変なものを見つけたんだけど、違和感ってやつ?」
「……変なもの?」
セッカに滑り方を教えて貰うことになった。
それも束の間、不意に手を挙げたポプラは意味ありげなことを言う。
「そうよ。貴女の凍らせたゲレンデの中でね」
「ん?」
セッカの氷はしばらく残る。
それが寒ければ寒い程効力も発揮される。
雪山なら長時間凍ったままだろうが、セッカはポプラの言葉に反応した。
「行ってみるわよね。アレを放置はできないでしょ?」
「分かった」
「えっ、ここを上るの!」
サクラは落胆してしまった。
今滑り降りたゲレンデを上る。
肩から力が抜けてしまうと、ポプラに手を差し伸べられる。
「サクラ、大丈夫よ。私が連れて行ってあげるから」
「なんならお前の魔法で雪山ごと消してもいいんだぜ?」
「それは流石にダメだよ。はぁー、頑張ろう!」
サクラも頑張って滑り降りたゲレンデを戻る。
天然の雪が降り積もり、いつ雪崩が来るかは分からない。
そんな恐怖心と戦う中、何故かポプラの見せたいものに、嫌な予感を感じてしまった。
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