第2話 スキーは初めて
私達は予約していたコテージでチェックインを済ませた。
それからスキーウェアに着替えた。
「「「うわぁ」」」
目の前は一面の銀世界。
真っ白な雪が降り積もり、幻想的な光景を作り出す。
「凄いな。前来た時よりも凄くね?」
「はい。長野のスキー場とはまた違いますね」
ヒマワリとツキカはスキーの経験があった。
もちろんポプラもスノボーの経験がある。
しかしこれだけの銀世界は見たことがない。何せ、
「こんなに誰も居ないなんて」
「怖いですか?」
「は、はい」
正直にサクラは答えた。
辿々しい口調になると、ポプラはリフトを見つける。
やはり誰も乗っていない。けれど無限に動き続けていた。
「とりあえず乗ってみた方がよさそうね」
「えっ、乗るんですか!?」
サクラは驚いてしまった。
セッカを待つのが普通だと思ったら大間違い。
ヒマワリとツキカと賛成した。
「いいな、それ。どうせセッカのことだ、上で待ってんだろ」
「そうですね、姉さん」
セッカは今頃滑っている。コテージのフロントスタッフはそう言っていた。
だからリフトを上がるしかない。
「ほら、サクラさんも」
「あっ、あの、私スキー、やったことなくて……うわぁ!」
ポプラ達が先に行く中、サクラはタジタジになる。
雪の上に足を踏み出すと、ストンと足を滑らせ、腰を打ちつけた。
「い、痛たた」
「大丈夫、サクラさん?」
「は、はい」
サクラは差し伸べられた手を取った。
何とか立ち上がるけど、やはり雪の上だと上手く進めない。
ポプラに手を引かれ、ゆっくりリフトに乗ると、サクラは心配になる。
「これ、上手く滑れるのかな?」
サクラはポツリと呟いた。
魔法少女だからそれなりに身体能力は高いけど、サクラは少し苦手だ。
上手く転ばずに滑れるのか、その心配は本当になってしまった。
「ううっ、高い」
サクラは固まってしまった。
真下には雪のゲレンデが広がっている。
おまけに空は晴れ渡る。最高ではなく最悪で、白い雪が光り輝く。
「サクラさん、よければ月を呼びますよ?」
「だ、大丈夫だよ。頑張ってみるから」
ツキカは魔法を使ってくれるらしい。
しかし私は首を横に振る。
するとヒマワリは装備を整え、早速スキーを始めた。
「んじゃ、先に行くからな」
「あっ、待ってください、姉さん。まだセッカさんが」
「ヒャッホー!」
「あっ、姉さん待ってください」
ヒマワリは勝手に滑り降りる。
その姿を追い掛け、ツキカも降りてしまう。
二人共見事なもので、完全に“できる人”だった。
「二人共、凄い」
「感心している場合じゃないわ。私達も行くわよ」
「えっ、で、でも」
「さっ、私に続いて」
結局セッカさんは上にもいなかった。
そのせいで誰にも教えて貰えずに降りることになる。
とりあえず初めてのスキー。ポプラさんの後ろに続くと、私もゲレンデに初挑戦した。
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