始まりの島、スレッドブルグ
さて、今は、4月の始め。
レーシーらが大騒ぎしながら島を出る少し前にさかのぼる。
ここは、スレッドブルグ。島国。レーシーたちが生まれた島である。
この小さな島国は、四方を山々に囲まれており、その切れ目には、唯一の港がある。
港は、決して大きなものではないが、大小さまざま色畔やかに彩色された多くの商店にぐるりと囲まれ常に活気に満ち満ちている。
そんな賑やかな商店をかき分けた真ん中に、大通りがまっすぐ一本。
その突き当りの厳つい山には、どっしりと、この国の要、フェイデン城が腰掛ける。
フェイデン城のすぐ下には貴族の煌びやかな家が、それに追随して騎士たちの構える整った家々が堂々と立ち並んでいた。
それらが見下す先には、平民街の素朴な街並みが横たわっている。
この平民街には、頭ひとつ抜け出して煉瓦作りの建物が高々と見晴らし塔のごとく立っていた。
ワーデンズギルドと呼ばれるなんでも屋がこの建物を所有し、平民のためにさまざまな仕事を請け負い、その仕事ぶりは、実に誠実丁寧で、平民たちからの信頼も厚い。
平民や、港の商人が平和に穏やかに暮らせるのはこのギルドが存在しているからと言っても過言ではない。
その建物の一室に、レーシーが店主を勤める店がある。
その名は、【マダムクロッシェ 2号店】
ここで二人は再会し、彼らの物語が始まったのである。
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