第6話 乱痴気騒ぎ

すぐにまた元に戻るけど、私と誠が5歳差になる日がやってきた。

1週間もすれば、4歳差に戻るけど、それまでは私がよりお姉さんだ。


この前はカマしてやったけど、昨日はまた頭から湯気が出そうなくらいカマされた。


年齢マウントはロックじゃねぇって、誠にまた言われそうだけど、言ってくれるなよ。

おまえのほうが強いって認めてんだから。


今日は日曜日、お父さんは何かを察したみたいに朝からどこかに出かけていった。


もう親に誕生日を祝われて嬉しい歳じゃねぇ。

お父さん、ありがとう。

世界で3番目に愛してるよ。


「誠くん、いらっしゃい。薫のこと、よろしくね」


「はい。お邪魔します」


「ゆっくりしていってね」


お邪魔してきた誠と私の邪魔をしないお母さん、ありがとう。

世界で2番目に愛してるよ。


「ケーキもいらないって、そういうこと?」


「うん。ロックだろ?」


「ロックでは…あるね!」


氷がたっぷり入ったグラスとウイスキーの瓶を見て、戸惑いながらもいつものように笑ってくれた誠、ありがとう。

世界で誰より愛してるよ。


「うぅっ…!薫っ…こんなのっ…いつも飲んでるの…?」


「いつもじゃねえよ。たまにな」


「高校生は…すごい…ね…」


「音楽もウイスキーもロックに限るんだよ。誠も中学生のくせにすごいよ」


嫌なことがあった時とかに飲んでるだけだよ。

お手軽に飛べるからね。


ごめんね、強がってるだけなんだ。

ありがとう、こんな薫を好きになってくれて。


「セックス、ドラッグ、ロックンロールだよ…?」


「うん…薫も…ロックも…大好き…」


「約束だよ…?薫のこと…愛して…?」


ごめんね、薫は弱いから…

こうでもしなきゃね、勇気が出なかったの。


ちがうよ、誠のことは大好きだよ?

もっとはっきり、薫のこと愛してくれた人の顔、ちゃんと覚えておきたかったんだよ?


でもね…初めてだから…恐かったの。

お姉さんなのに、ごめんね…?


「うん…かおる…大好き…愛してる…」


「うれしい…薫…はじめてだから…誠…もらって…?」


「ぼくも…はじめてだよ…」


ごめんなさい。

でも…本当に素直に言えたから許して?


まことのこと、ずっとだいすきだから…


わすれないから…













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