第5話 プレゼント

私の気持ちは変わんない。

それでもやっぱりちょっと気が引けるから、誠を家に連れてくる時は、お父さんに見られないようにした。


どうもお母さんが厳しいみたいで、誠が家に来てもそんな長くはいてくれねぇけど。


まだしてねぇよ。

万年発情期のヤリマンじゃねぇし、女の子には事情ってモンがある。


今より寒くなる頃には、周期的に私も準備万端ってね。

その頃には、私も17歳かな。


「誕生日プレゼント何がいい?」


無線で飛ばした心地いいビートがスピーカーから鳴り、暖房も利いて快適な私の部屋で、誠が粋じゃねぇことを聞いてくる。


女心ってのが分かってねぇな。

彼女いたことあんだろと思いつつも、口には出さない。


「何もいらねぇよ」


「じゃあケーキ買ってあげる。でも、お金ないからちっちゃいやつだよ?」


「ガキじゃねぇんだからいらねぇよ。誠が、隣に一緒にくれれば、いいんだよ…」


「それじゃあいつもと同じじゃん」


今日は誠がやけにガキくせえ。

分かってて、私のことからかってるのか?


「特別な日なんだから特別なことしないと」


おまえといる毎日が特別だから、誕生日が特別である必要なんてねぇんだよ。

この女たらし予備軍め、絶対私に言わせようとしてんだろ。


まあ…特別なことはしてもらうけど…


「何もいらねぇから。私のこと、愛してくれりゃいいの!」


「僕は薫のこと愛してるよ?」


「じゃあ…誕生日はもっと愛して」


「いいよ。いっぱいキスしてあげる」


ロックなのかポップなのか分からねぇな。

誠は掴みどころがなくていけねぇ。

分からねぇほうが面白いからいいけどよ。


「約束だぞ?まあ、私は誠に誕生日プレゼントあげるから心配すんな。お姉さんだからな」


「僕だって別にいらないよ。薫と一緒にいられれば…僕もそれでいいもん!」


「じゃあ私からのプレゼントもキスでいいな?」


「う、うん。いいよ」


ちょっとは年上彼女っぽかったかな?

いつも私が妹みたいにされてるから、たまにはいいだろ。


キスだけなんてつまんないこともしねぇよ。

子供扱いしないで、ちゃんとロックなプレゼントくれてやるよ。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る