第2話 同類

友達なんている、とは言ったものの、本当に友達と呼べるやつがいるかというといねぇ。

ただ何となく、孤立するのも嫌だから、相手の顔やその時の空気で、愛想で笑ってるだけ。


自分は孤独じゃねえと、ちょっとだけ安心できる居場所がほしいだけなんじゃねぇかな。


「真奈ちゃんの彼氏って25らしいよ」


「ヤバくね?淫行じゃね?」


「16から結婚できるから大丈夫でしょ」


「今は18からだろ。教養ねーな」


グループに属して、ただその輪の中にいるだけ。

別に自分から何か話そうって気はねぇ。

私に関係ない話だし、興味もねぇ。


「薫も彼氏作りなよ。うちらの中で彼氏いないの薫だけだよ?」


「いい男でもいたらな」


お節介に返事をして頭に浮かぶのは、誠くらい。

私の彼氏だって言って見せたら、笑われるだろな。


それでもコイツらといるよりかは、誠と話している時のほうが楽しい。


あれから誠と色んなことを話した。

いうて音楽のことしか話してねぇけど。


コイツらは音楽の話をしても、最近の流行りの曲のことしか話さねぇ。

私はそんなの好きじゃねぇし、聴きもしねぇ。

だからつまんない。


私の友達って誠だけなんじゃねぇか?

それはちょっとカッコ悪いな。


でも…それが事実か…


現に学校から帰る途中も、こうして誠がいないか探してる。

昨日会ったばかりのチンチクリンを。


「探すまでもねぇってか」


ガードレールに腰かけて、昨日と同じ場所に誠はいた。

声をかけるまでもなく私に気づいた誠は、耳からイヤホンを外して駆け寄ってくる。


「待ってたから来ると思ったよ」


寒くなってきたってのに随分と暇だな。

誠も私と同じなのかな?


「やっぱりおまえも友達いねぇだろ」


「ハハッ、それじゃ薫が友達いないみたいな言い方じゃん」


言葉尻を捕まえて小憎らしいやつめ。


「いるよ。一緒にいてもつまんないだけで…」


「じゃあ僕と同じだね」


後ろめたさなんてないように堂々と誠は言った。


可愛らしい顔して強いじゃんかよ。

私なんて4年早く生まれただけで、誠のほうがずっと大人じゃねぇか。


「薫といるほうが楽しいから待ってたんだよ」


「連絡先教えただろ。別に待ってなくてもいいじゃん」


「待ってたほうが薫と長く一緒にいられるじゃん?」


さらっと言ってくれるよな。

とんでもねぇ女たらしになるぞ、コイツ。

絶対セックスしたことあるだろ。



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