第4話 はぐれ星になったあの娘

 クリスマス、正月と慌ただしい季節が過ぎた2月のある寒い朝、見知らぬ番号が僕のスマホを鳴らした。


「宮部です。突然電話を差し上げて申し訳ございません。番号は『伊勢屋』さんが教えてくださいました」


 そう言えば僕たち、メアドや電話番号の交換すらしていなかった。


「旅行はお楽しみになられましたか?」


 でも彼女は無言だった。

 少しのすすり泣きの後、涙声で聞こえて来たのは、


「母は独りで旅立ちました」


 というひと言だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る