【03】聖騎士/天宮傑龍
しかも彼は
その上にモデルばりの長身と甘いマスクで、何度も雑誌の表紙を飾っている。スポンサーから提供されたスタイリッシュな白い防護服には、無数の企業ロゴが踊っていた。
ここまで来れば、多少の
──しかし
複数の上級
パニックを避けるため国民には情報が伏せられ、代わりに天宮をリーダーとしたA~S級混合最高戦力
予知から時間も位置も大きな誤差なく迷宮は発生し、領域内に待機していた
道中には過去にボスとして確認された強力な
──ここまでは。
駅ひとつをまるごと内包した広大なボスフロアに、
『聞け、愚昧にして脆弱なニンゲンよ』
全員の脳内に直接、威圧的な
『我が名は異宮龍皇ドルディガス、すべての世界を
全身を黄金の鱗で覆われた二足歩行の巨大なドラゴン。五階建て屋上ほどの高さから黄金の瞳で見下して、さらに
『我が降臨により、この下級世界の
だとすればこいつが、あらゆるダンジョンの
逆に言えば、この
もしそれが成せたら、ダンジョン禍を終わらせ、世界を救った英雄として社会科の教科書に──いや、人類史に名を刻まれるだろう。
そして、
初手の
『管理者が悪あがきをしたようだが、こんな下級世界の
彼らの脳内に、
再度の
この風が止まった時、
なお、フロアの入り口のゲートは閉ざされている。
ボスフロアからは、ボスを倒さねば出られない。
──無理だ、レベルが違う。どうする、俺だけでも死なずに済む方法はないのか!?
「ねえ待って、あれは何かしら?」
パーティのひとり、無駄にヒラヒラのついた防護服の女が、負傷メンバーを
だいたいこの女が悪い。なにが「美しすぎる聖女
「ねえ見て、壁を駆け下りてきてる! あれって人間?」
スポンサーの
やはり道中、覚醒したてなのに十人規模の結界を張って民間人をゴブリンから守っていた
「もしかして壁を越えてきたのかしら……あっ! 跳んだ!?」
ばかばかしい、どんなに戦士系の
「うるさい黙れッ! 集中しろ、この足手まといどもがッ!」
ついにキレた彼が、他のメンバーへの不満もまとめて吐き捨てたのと、それは同時だった。
ドン、という爆音を響かせて、パーティと
土煙を風が運んで、その向こうに浮かぶ細身のシルエット。
漆黒と真紅の衣装をまとい、風に銀髪なびかせる少女──
「──
「へ……?」
呆然とする天宮の視界の中で、少女は悠然と立ち上がる。入れ替わるように、斬首された
──風は止んでいたから、フロア全体に巻き上がった土煙が晴れるまでだいぶ時間を要した。
小山のような巨龍の骸を前に、パーティは幸いにも全員無事だった。
しかし、その立役者である少女の姿はどこにもない。
「……なあこれ……俺が倒したってことで、いいかな……?」
天宮の問いかけに、パーティメンバーの誰ひとり応えることはなかった。
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