呪う
瑠璃人
呪う
美しくも恐ろしい光を放つ夜景を見下ろす。一見、世界が美しく見えそうだが、俺は違う。この世界はクズとクソばっかだ。今日裁判で負けた。愛する人を辱めたあいつらを死刑にしたかった。だが叶わなかった。控訴もできるだろうがどうせ変わらない。だから俺は決意した。あいつの元へ向かう決意を。コートを脱ぎ捨てる。それは、紙屑のように舞い、飛んでいく。人生はそのコートのように儚く、あやふやなもの。この若さでそのことに気づいた俺は自分自身を誇らしくも憎らしくも思う。殺しに行きたい。今からする行為を無駄だと思った。でも。殺しに行ったからって殺せる確信はない。涙が溢れる。俺が今ここで飛ぶことが変化をもたらすだろうか。もしかしたら裁判の結果を変えることができるかもしれない。いや変えられる。世間は簡単なことで大きく揺らぐから。母さん、父さん、そして大好きな君へ。非力な俺を許してほしい。風を感じる。そしておまえら。俺はおまえらを呪う。呪うぞ。呪ってやる。呪ってやる!迫る地面を感じながらそう考えていた。
呪う 瑠璃人 @ruribito
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