第3話 落としたフロッピー
その年のセンター試験の「物理」の出題委員長をしていた私は、問題にミスがないことをもう一度確かめるため、本当は禁止されていたが、問題を入れたフロッピーディスクのコピーを取って、それをカバンに入れて福岡に持ち帰った。
私が自宅に帰って、カバンをひっくり返しても問題のフロッピーディスクが出てこなかったので、私はそれを家内に相談した。
私のカミさんは、
「禁止されていたことをしたあなたがいけないのよ。それが世間に出て、問題になるよりも、入試センター長に謝って、物理の作題委員のお仲間にお願いして、問題を作り直しなさい。高校時代から、あなたは『理科の先生になりたい』って、言っていたでしょう。理科の先生には悪い人はいないから、きっとみんな、協力してくれるわ」
と言った。
確かにその通りだと思った私は、センター長と物理の出題委員の先生方に、
「禁止されていた試験問題のフロッピーディスクを持ち出して、それを失念した」
と誤った。
世間の人たちは知らないかもしれないが、そんなこともあるかもしれないと、センター試験では、全科目、完全に問題が違う、センター試験として使える問題が副問題として用意されているのである。
追試験を含めると、センター試験は3セット作られているのである。
私はセンター長と相談した結果、物理は副問題の方にすると決め、そちらを印刷に回すことにした。
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