第2話 拾ったフロッピー
私の名前は川口良太、1979年の11月、福岡空港のトイレで、隣に立って用を足していたおじさんが洗面所で手を洗った後、コートのポケットからハンカチを出したはずみで、ケースに入ったフロッピーディスクを落とすのを見ました。
その時、それを落としたおじさんにすぐに声をかけておけばよかったのですが、探偵ものの小説が好きだった私は、そのフロッピーに重大な秘密が書かれているかもしれないと思い、そのフロッピーを拾って、家に持ち帰りました。
家のパソコンでそのフロッピーを開いて、私は驚きの声を上げてしまいました。
それには、2か月後に私が受験する共通一次試験の物理の問題が丸々入っていたのです。
私は工学部志望だったので、理科は物理と化学の二科目が必修になっていました。
その共通一次の問題が入ったフロッピーディスクを警察に届ければよかったのですが、化学に比べて物理が弱かった私は、そのフロッピーに入っていた物理の問題をパソコンに移すと、フロッピーディスク自体は、はさみで切断して、ごみ箱に捨てました。
(これで共通一次試験の物理は満点が取れる)
そう確信した瞬間でした。
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