第5話初めての献身

「馬鹿じゃねえのか?このガキに歳がバレるのが恥ずかしいかっらて声荒げてよ。

その結果・・・」


「」ぐてぇ~・・・

「なんで入院日数に対して具合が悪化してだよ。馬鹿じゃねぇのか。」

「おいおい、この子は病人なんだから優しく接してやれよ。お前も医者だろ?」


「・・・わぁたよ。生憎弱いものいじめだなんて気持ちの悪い趣味持ち合わせてないからな。」

「そうそう、この子は身体だけじゃなく突如見知らぬ世界に来てしまったから精神面も衰弱してるんだ。

それなら俺たちで優しく接してやるべきだろ。なぁ?」

「ん。ま、だな。お前がそれで救われるなら・・・そうしよう。」

「救われるって、変な言い方だな。

まぁ、この子の回復は俺も真摯に願ってるからな。っし!いっちょ、かますか!」

「かます、いったい何をかますんですか?」

「あぁ、期待して待っといてくれよ。君が元気になるようなご飯すぐに作ってきてあげるから!君の飯使としてね。」


―――――


キッチンにはロリに手伝ってもらい揃えた数々の食材たちが並んでいた


今の彼女は酷く肌が荒れ髪や爪の修復も機能してしていない

何より酷いのは動きの硬さおそらく腰痛で身体をもうように動かせないのだろう

そして何より身体に優しい料理でなければならない

よし、決めた。彼女のために今日作る料理は、


鶏むね肉ときざみネギのおかゆだ


―――――


材料(1人分)


・ごはん 100グラム

・鶏のむね肉 40グラム

・きざみネギ 適量

・鶏がらスープの素 小さじ2分の1

・塩 少々

・水1カップ


―――――


今回の献立の方針は、「身体に優しく」「タンパク質摂取」

食材はロリが今回に限りしばらく分の食材、調味料を調達してくれたためありがたく頂戴する


料理自体は一人暮らしということもあり頻繁にしていたが、

作った料理自体はやれチャーハンや、卵焼き、オムライスといった

簡単な料理ばかりで、当然他人に振る舞うほどの腕前でもなければ

機会もなかったため正直・・・不安だ。一呼吸置き彼女のことを考える。

きっと出会ったのは何かしらの理由があるはずなんだ、大切に・・・

「よし、始めるか。」



まずはお鍋に水1カップだいたいで200ccを入れ沸騰させる

この水の量ならすぐに沸くはずだ

水が沸騰したら鶏がらスープの素小さじ2分の1と

事前に食べやすいサイズに細切れにした鶏むね肉を入れるしばらくしたらアクが出てくるため

スプーンですくう


アクをある程度スクい鶏むねがピンクから白色になってきたら次にご飯を投入する、

軽く混ぜその後きざみネギを入れ塩で味を調整していく。

ネギを入れてすぐ、ネギがくったてきた。

お粥を一口分すくい口に運ぶ。温かく味付けがとても優しい、塩もかなり控えたのが正解だったようだ。


最後に盛り付け、お米が柔らかいため潰さないように優しくお茶碗に移して完成。

我ながら上手くできた。

そうだ、せっかくならこの料理を写真に収め日記感覚として投稿してみようかな。

後でアカウントでも作っておこう


―――――


「お、はやいな」

「まぁな、朝飯ってこともあって一品だけだしな。えーと、ミコナタちゃんであってたかな?

お口に合えば幸いなんだけど、どうぞ。」

「わぁ・・・美味しそう、ありがとうございます!」

「おい、ミコナタこっちでは飯の前に感謝も込めて『いただきます』って言う礼儀があるんだこの際だから慣れておけ。」

「なるほど!わかりましたそれでは、いただきます。」

「どうぞ、いやぁにしてもなんか緊張するな。お口に合うかな。」

「ん・・・美味しいですそれに、とっても温かいです。」

「ほっホント?・・・良かったぁ、ってな、泣いてる!?」

彼女の美味しいという言葉に一安心していると突如彼女がポロポロと涙を零した


「ご、ごめんなさい大丈夫あなたのせいとかではないの。

私がこちらの世界に来る前に読書に夢中でつい母の食事をいつものように忘れてしまっていて。

今あなたが私のために作って下った温かい料理を目の前にし口にしたら、

今までの母親への優しさに対する申し訳なさと、なんだかとっても寂しという感情が溢れ出てしまって。ごめんなさい、せっかく作ってくださった料理を前に手を止めてしまって・・・」

「そう言う事だったのか。大丈夫だよ生きていて何かにぶつかったり、

飲まれたり困難が立ちふさがったら弱ってしまうのは当然のことなんだ。

急に親しんだ居場所からこんな分からないことだらけの世界に来てしまったら

精神面で弱ってしまうのは仕方がないことだよ。」


「だな、まぁこいつが言うんだ間違いはないだろうな。」

「はは、嫌な信頼のされ方だな。

まぁ、人間てのはそれほど身体的にも精神的にも弱い生き物なのかもな。

それにもし我慢できないほど辛くなったら、

この病院には精神科だってあるんだろカウンセリングでもすれば少しは楽になるはずだよ。」

「そんなペチャクチャ駄弁って楽になるもんかねぇ」

「お前なぁ、そんな成りでも医者なんだからそんなこと言うなよ。

きっと彼女の笑う回数も増えるはずさ。」

「・・・そうか、ならそのその手の医者との面談の手配でもしておいてやるよ。」

「本当か!」


「あぁ、ただまぁそいつは普通の患者とは少し違う。面談の条件はお前が付き添うことだが出来るか?」

「え、まぁ大丈夫だ。」

「ありがとうございます。


出会ってからお二人には様々なものをご用意させてしまって本当に申し訳ないです。」

「大丈夫さ、せっかくの出会いなんだ面倒見させてくれこれも何かの縁さ。」

「だな。見ないふりってのも気分が悪いしな。」

「二人とも・・・うわあああん」

「うわああ!だ、大丈夫か!?」

「う”ぅ”、嬉じぐでぇ”あ”り”がどう”ござい”ま”ずぅ”!!!」

「だっー!!!お前ら二人ともホントめんどくせぇなー!!!」


―――――


「あら、どうしました。」

「お前に今度カウンセリングをお願いしたい奴がいてな。」

「あらもしかして個人的に面倒見てるっていう噂の患者さんですか。」

「あぁ、てか噂になってんのか。」

「一部の職員の間だけですけどね」

「一部ねぇ・・・」

「ふふ、とりあえずカウンセリングの件は了解しましたご予定はどうされます。

まぁ一名なら無理にでも時間作れますが、」

「あぁ、いや。お前に面倒見てほしい奴実は二人なんだ」

「二人・・・はて?噂の患者さんとあともう一人は?」

「噂になってない方の患者だ。

というのも入院じゃなくて、勝手だが個人の判断で通院という形にしてるんだ。」

「へぇ・・・で、その患者さんの名前は?」

「『御伽ユウ』だ」

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