第4話 AM 4:30 病院

「おはよう、こんな朝から献身的だな。」

「ん、あ~ぁ。・・・はよう」

「おいなんだよ朝から、もっとシャンッとしろよ。そんなんじゃ早速お嬢に愛想つかれちゃうぜ?」

「別に、そうなったら素直にこんな事やめるよ。

自分自身俺なんかじゃ役不足なんじゃないかと思ってる。」

「ん、そか」

「『ん、そか』って・・・そんな三文字で・・・」

そんなくだらない会話を駄弁つつロリが迎えに来てくれた病院の入り口から

ロリの部屋へと向かっていた。てか、『ロリの部屋へと向かっていた』って字ずらだけ見たら最悪だな


「てかBBAはどうだ、ちゃんと朝の散歩に出かけたか?」

「え?ああ。えらい早い時間から起きて出かけるんだなあの人、健康的ですごいよホント。

というかお前が何でそのこと知ってるんだ?確かに毎日の朝の日課とは言っていたけど。」

「ん、面倒見てやってんだよ色々とな。っと、とーちゃあーく。

ここが今日からあのお前の・・・まぁ職場?になる場所だな。」

連れてこられた部屋はごく一般的なガスキッチンが併設された

少し広めなビジネスホテルのような一室だった


「病院にもこんな場所があるんだな、俺まったく知らなかったよ。」

「はぁ?普通は無いぞこんなビジホみてぇな部屋」

「へ?」

「昨日お前とBBAが帰った後急いで作ったんだよ。」

「急いでって、どうやって」

「まぁ・・・魔法だな」

そう言うとロリは指を杖に見立て空をクルクルと回し笑ってみせた

「す、すごいな。」

俺が昨日と相も変わらず驚いていると


「まぁな!」

ロリは気持ちいいくらいに笑っていた

口は悪いが俺のためそしてあの子のためにここまでしてくれるなんて、

こいつはやっぱり相当良い奴なのかもしれない


「で?」

「・・・はぁ?」

「すごいんだろ?じゃあなんかあるだろ、おい。」

そういうとロリは自身の頭を撫でる素振りをした

「・・・はいはい、分かったよ。」

別に減るものでもないため俺は促されるままロリの頭を撫でた

「~♪」


やっぱりこいつ相当めんどくさい奴なのかもしれない・・・


・・・いやこれを「めんどくさい」

そんな一言で簡単に嘲笑、見下し、呆れてしまっていいのか?

俺は、学生時代から。今の今まで、この感覚で生きてきていたんじゃないのだろうか?

いや生きてきた。俺はこういう会話えらく嫌ってきたんだ、そしていつの間にか避けて生きてきた。

そのため、気づけなかった。いや気づかないように避けていたんだ、無意識に。

その結果ろくに人間関係を築けないような今になったんだ。

違う築けないんじゃない、築かせてもらえない人間になったんだ。

見下してるのを見透かされて、嫌われて、避けられていたんだ。

こちらから一歩ただ一歩踏み出せば相手との距離は縮まる、そう勘違いしていたんだ。

実際はこちらが詰めたら、相手は。


一歩引く。こちらが詰めた分相手は引くんだ。

遅すぎたんだ。一歩、たった一歩。

踏み出すことを躊躇っていたがために見透かされ見切りをつけられ嫌われてきたんだ

躊躇い、踏みとどまったがために。

もっと自分を、考えているだけでは出てくるのは杞憂な考えばかり。

『是非!・・・あ』

・・・あの時みたいにノータイムで自分を出さないと―---


「・・・い!おい!!!」

「ぅ?」

「おい聞こえてるのか?!」

「え、あ。ああ・・・なんだっけ」

「?いやだからもう撫でるのは止めろと言ってるんだ、俺はもう満足したからな。

さては、俺のこと好きになってもっともっと撫でていたなんて考えてたのか?このエロガキ」

そう言うとロリはつい先ほどの笑みとは違う悪だくみを思いついた子供の笑みを浮かべた


こいつはホントに、


「い、いや違うよ。・・・お前ってなんか」

「?」

「人間じゃないくせして、人間の俺よりもよっぽど人間味があって面白い奴だな。」

「・・・っははは!そうか、ならお前もかなり人間味があって面白いぜ」

「そら、ありがとな。初めて言われたよその”誉め言葉”」

俺が面白い、か・・・


_____


「おはよう、目覚めはどうだお嬢様?」

「ふわぁ~・・・おはようございます、ん~。」

「はは、まだ眠いって感じだな。王子のキッスが必要か?」

「いっ、いえ!キキ、キッスなんてっひ、ひっひ必要なんてありません////

それにお嬢様だなんて・・・」

「ふっ、お前いい歳して結構可愛い反応するじゃねえか」

「おいおいあんまこの子をからかってやるな・・・ん、お前この子の歳が分かるのか?」

「ああ、まぁ普通の人間にはエルフってやつは見た目だけじゃ何歳か分からないだろうけど

似たような他の長命種ならおおよその予想がつくもんだな。こいつの場合、歳はおそらく・・・」

「だめえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」


エルフの少女は顔を真っ赤にしながらおそらく残り少ないであろう体力を使い

ロリの発言を声と体を使い遮った


結果容態は悪化したのであった・・・

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